需給動向 海外

◆豪 州◆

2009/10年度の生乳生産量は、前年度比0.9%減の見込み


◇絵でみる需給動向◇


2009/10年度の生乳生産量は、乳価の下落により減産の見込み

 豪州農業資源経済局(ABARE)が6月に発表した農産物需給予測によると、2008/09年度(7月〜翌年6月)の生乳生産量は、前年度比1.7%増の938万キロリットルと4年ぶりに前年度を上回ると見込まれている。しかし、2009/10年度は、生産者乳価の下落により酪農家の生産意欲が減退することから、同0.9%減の930万キロリットルと予測されている。なお、2009/10年度の1リットル当たりの生産者乳価は、同18%安の33豪セント(26円:1豪ドル=80円)と大幅な下落が見込まれている。

 ABAREは、2009/10年度の生乳生産動向について、これまで同様、天候、かんがい用水の供給、補助飼料のコストに大きく影響され、4月下旬に主要酪農地域において広範囲にわたり降雨があったものの、冬場の牧草を維持するには、さらなる降雨が必要であるとしている。また、2009/10年度の飼料穀物価格は、前年度より下落すると見込まれるが、依然として高い水準が継続するとしており、生産者乳価の回復は見込めない中、多くの酪農家は、生産コストを抑えるために、補助飼料の利用を抑制すると見ている。

生乳生産量および生産者乳価の推移

マレー・ダーリング集水域における生乳生産動向が今後の鍵

 また、ABAREは、今後の生乳生産量は、酪農家が低乳価を前提とした生産に適応できるかによって左右され、特に、豪州最大の酪農地域であるニューサウスウェールズ州、ビクトリア州の州境に位置するマレー・ダーリング集水域における生産動向が重要とみている。同地域では、かんがい用水の割当が減少する中、酪農家は生乳生産を確保するため、牧草の生産を縮小し、購入した穀物や粗飼料に依存する傾向が強まっていることから、生産コストの上昇が懸念されている。なお、ABAREによれば、一部の酪農家は、かんがい用水の割当枠を売却した上で、購入飼料に完全に切り替えた生産を行っているとしている。

2009/10年度の輸出額は、国際乳製品価格の下落から大幅な減少見込み

 2009/10年度の主要乳製品の生産量を品目別に見ると、生乳生産量がわずかに減少すると見込まれる中、バターは前年度比10%減の13万5千トン、脱脂粉乳は同11.5%減の18万4千トンとそれぞれ減少が見込まれている。一方、チーズは同0.6%増の35万トン、全粉乳は同4.3%増の14万7千トンとそれぞれ増加が見込まれている。

 乳製品の総輸出額は、昨年度に続き国際乳製品価格が下落したことを反映し、同17%減の23億豪ドル(1840億円)と予測されている。品目別に見ると、バターが同40%減の1億4,100万豪ドル(113億円)、チーズが同10%減の6億9,100万豪ドル(553億円)、全粉乳が同17%減の4億1,100万豪ドル(329億円)、脱脂粉乳が同25%減の4億5,000万豪ドル(360億円)と前年度に比べ軒並み減少すると見込まれている。

生乳生産量と主要乳製品の生産量の推移

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