バターの卸売価格上昇に伴い、介入買入対象数量が漸減
バターの域内価格が回復傾向を強め、いくつかの加盟国では介入買入単価注1を上回って推移している状況となっている。図1はオランダにおけるバターの卸売価格を示したものだが、6月に入ってからは、介入買入単価を上回って取引されていることがわかる。
注1: 直近(7月9日時点)の介入買入単価は100キログラム当たり220ユーロ
(約30,140円:1ユーロ=137円)。
図1 バター卸売価格の推移(オランダ)
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図2は、入札方式によるバターと脱脂粉乳の介入買入対象数量の推移を示したものであるが、脱脂粉乳については、依然として相当 量の買い入れが続いているのに対し、バターについては、4月の第一回入札注2をピークに買入対象数量が漸減し、直近(7月の第一回入札)では761トンまで低下している。これは、バターの卸売価格の上昇により、介入買い入れの相対的な優位性が薄れていることを意味しており、実際、オランダでは、5月の第二回入札を最後に、バターの介入買い入れの実績はゼロとなっている。
注2: 2009年4月より、入札方式による介入買い入れの入札頻度が、
従来の月1回から月2回に変更された。
図2 入札方式による介入買入数量の推移
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脱脂粉乳の卸売価格は依然として介入買入単価を下回って推移
一方、脱脂粉乳の卸売価格については、バターと比較すると回復の動きが鈍い。図3は脱脂粉乳の卸売価格の推移を示したものであるが、卸売価格は回復基調にあるものの、介入買入単価に近い水準で足踏み状態となっている。これは、脱脂粉乳の卸売価格が事実上介入買い入れにより底支えされていることを意味していると考えられる。また、図2のとおり、脱脂粉乳の介入買い入れへの依存は高くなっており、介入買入数量の累計は、固定単価による介入買い入れを含め、既に23万トンを超えている。これはEUにおける脱脂粉乳需要の3〜4カ月分に相当するといわれており、このような大量の介入買入在庫は、在庫放出期において卸売価格上昇の妨げとなりかねず、脱脂粉乳市場の回復の不安定要素となっている。
図3 脱脂粉乳卸売価格の推移(ドイツ)
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