需給動向 海外

◆米 国◆

減少傾向が続く牛肉の消費


◇絵でみる需給動向◇


2009年1月〜10月の卸売価格は前年同期比8.2%安

 米国農務省農業市場流通サービス局(USDA/AMS)によると、牛肉卸売価格(カットアウトバリュー)は2009年2月以降前年を下回って推移し、10月は前年同月比8.3%安の100ポンド当たり135.7ドルとなった。6月のフィードロット導入頭数が少なかったことから、10月の週間平均と畜頭数は前年同期を3.7%下回り、10月最終週には9週間ぶりに140.2ドルまで回復したが、2009年1〜10月の平均では前年同期を8.2%下回る水準となっている。これは、昨年秋以降の景気後退を反映して需要が弱含んでいることが、価格の下げ圧力になっているものと考えられる。

図1 牛肉卸売価格の推移

1人当たり消費量は2年以上前年割れ

 USDAによると、2009年第3四半期の1人当たり牛肉消費量(枝肉重量ベース)は、前年同期を0.6%下回る7.1キログラムとなり、2007年第2四半期以降、10四半期連続で前年を下回ることとなった。2008年秋のリーマン・ショック直後の同年第4四半期を底にやや回復基調となったものの、前年水準を超えるには至らず、2009年第1〜3四半期累計では、前年同期を2.1%下回る21.6キロとなった。米国および世界の景気情勢の先行きが不透明な中、今後消費が本格的に回復する明るい材料は今のところ見つかっていない。

図2 1人当たり牛肉消費量の推移

今後、牛肉需給はさらに緩和する可能性

 と畜頭数も減少が続いており、2009年1月〜10月累計では、前年同期比4.3%減の2791万5千頭となった。これは、収益性の改善を図るため、フィードロットへの肥育素牛の導入を減らすなど、供給を絞り込んだことが理由として考えられる。しかし、2009年第3四半期のフィードロットへの導入頭数は、これまでの絞り込みの反動などから前年同期を6.1%上回ることとなった。これら肥育素牛は、年末から2010年第1四半期にかけて出荷されることが予想されるが、消費の本格的な回復が見込めない中、供給が増えるようなことになれば、さらなる牛肉需給の緩和が心配される。

 また、と畜頭数のうち繁殖雌牛は、前年同期を6.1%下回る273万5千頭となった。2008年は南部(テキサス、オクラホマ州など)の干ばつの影響などのため、前年を大きく上回った。今年は2005〜2007年の3年平均を上回る繁殖雌牛のと畜が行われているものの、牧草の生育状態が良好なこともあり、昨年ほど繁殖雌牛のとう汰が行われていない。昨年秋の景気後退以降、牛肉および素牛価格が弱含みで推移する中、繁殖基盤の縮小が心配される肉牛業界にとっては、明るいニュースと言えるであろう。

図3 繁殖雌牛の週間と畜頭数の推移

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