配合飼料の成分構成の約5割を占めるトウモロコシの輸入価格(CIF)は、平成20年9月のピーク時以降、依然として低下傾向で推移している。
財務省「貿易統計」によると、平成21年9月のトウモロコシの輸入価格は、前年同月を大幅に下回るトン当たり20,554円(49.9%安)となり、9カ月連続して前年同月を下回った。これは、トウモロコシの国際価格(シカゴ定期相場)が、米国の主産地において気温が高く適度な降水量がある最適な環境が続き豊作となっていることや、世界的な不況による穀物需要の減退懸念、金融危機による商品市場からの投機資金の流出などにより下落が続いているためと考えられる。
また、大豆油かすの9月の輸入価格も、前年同月を大幅に下回る同46,441円(22.0%安)となり、トウモロコシ同様、9カ月連続の前年割れとなった。
この値下がりもトウモロコシと同じく、国際価格(シカゴ定期相場)の下落の影響と考えられるが、大豆油かすの場合、世界全体の輸入量の約5割を占める中国が原料大豆を大量に買い付けている影響などのため、輸入価格は21年2月以降上昇傾向で推移している(図6)。
一方、輸入価格に影響を及ぼす要因の一つである海上運賃(米国ガルフ〜日本間)については、金融危機や景気後退懸念、原油相場の下落などから急落し、20年12月頃にはトン当たり20ドル台まで下落したが、その後、中国の輸入にかかる大豆、石炭、鉄鉱石の船腹需要の影響などにより上昇傾向に転じ、21年10月は同58.2ドルとなった(図7)。
国内畜産物の消費低迷が続く中、配合飼料価格が上昇すれば、畜産農家の経営を一層悪化させることになるだけに、関係者の間では、トウモロコシの輸入価格や海上運賃の動向が注目されている
図6 トウモロコシと大豆油かすの輸入価格
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図7 海上運賃の推移(ガルフ〜日本)
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