需給動向 海外

◆豪 州◆

2009/10年度第1四半期の生乳生産量は前年を下回って推移


◇絵でみる需給動向◇


2009/10年度第1四半期の生乳生産量は、前年同期比3.9%減とやや減少

 デイリー・オーストラリア(DA)によると、2009/10年度第1四半期(7〜9月)の生乳生産量は、主産地の南部地域で冬期の降水量に恵まれたものの、一部の地域で多雨により牧草の生育に影響が生じたことなどから、前年同期を3.9%下回る225万1千キロリットルとやや減少した。州別に見ると、ニューサウスウェールズ(NSW)州が前年同期比4.5%増の28万3千キロリットル、クイーンズランド(QLD)州が同8.6%増の13万9千キロリットルとそれぞれ増加したものの、最大の酪農生産州であるビクトリア(VIC)州が同6.2%減の147万9千キロリットル、南オーストラリア(SA)州が同2.1%減の14万6千キロリットル、西オーストラリア(WA)州が同2.0%減の8万4千キロリットル、タスマニア(TAS)州が同8.7%減の11万9千キロリットルとそれぞれ減少した。

図13 州別生乳生産量の推移(7月〜9月)

乳価の下落などの影響により、苦しい酪農経営

 DAは10月8日、340戸の酪農家を対象に経営状況について調査を実施(9月上旬)し、その回答を基に「酪農業の現状とその見通し」に関するレポートを公表した。これによると、95%の酪農家が、初期生産者乳価(7月初旬各乳業メーカーが酪農家に提示)が過去5年で最低となったと回答したほか、低水準が続いた国際乳製品価格、気象条件、低い生産者乳価などにより、採算がとれる水準と同等またはそれ以下の困難な経営を強いられていると回答した。

 また、今後3年以内に離農する意向があると回答した酪農家は、前回(2009年3月)調査時にはわずか3%であったが、今回の調査では16%と増加している。中でもWA州はその率が5%から32%まで増加した。これは、低い生産者乳価で長期間に及ぶ契約を提示されたことが影響している。また、好調な生産を維持してきたTAS州でも、0%から18%に増加している。

 こうした状況を踏まえ、DAでは2009/10年度の生乳生産量は、前年度を4%下回る900万キロリットルと予測している。

国際乳製品価格が上昇傾向にあるなど明るい兆しも

 一方、今回の調査実施後、多くの地域で春期の降水量に恵まれ、また、穀物飼料価格がいくぶん落ち着き、大手乳業メーカーからの生産者乳価の引き上げが発表された。また、かんがい用水の割当が改善され、国際乳製品市場においても価格および需要回復の兆しが見られる。 

  DAによると、中東向けや東南アジア向けなどの輸出市場において需要の増加がみられる。また、ニュージーランドの酪農協フォンテラによる電子オークション取引「グローバル・デイリートレード」は、オセアニア産乳製品取引の価格指標の一つとなっているが、11月3日に行われた同取引の全粉乳平均価格が前月比で13.7%上昇するなど、豪州酪農乳業にとって明るい兆しも見られる。


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