需給動向 海外

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バター・脱脂粉乳の卸売価格は引き続き上昇


◇絵でみる需給動向◇


バターは100キログラム当たり320ユーロの水準に

 2009年11月のバター・脱脂粉乳の卸売価格は、先月に引き続き上昇した。バターは100キログラム当たり320ユーロ(約43,840円:1ユーロ=137円)と、底値であった今年の1月の水準から5割強上昇したことになる。図10は、バター卸売価格と介入買入在庫の推移を示したものであるが、

 (1)3月から開始された介入買い入れにより、バターの卸売価格の低下に歯止めがかかったこと

 (2)6月付近の卸売価格の回復と時期を同じくして介入買入在庫の増加が止まったこと

 (3)9月以降、バターの卸売価格の上昇が顕著となり、10月末現在まで継続していること

 が読み取れる。

図10 バターの卸売価格と介入買入在庫の推移

 一方、脱脂粉乳については、バターと比較すると価格の回復の立ち上がりは8月頃からと遅く、また、10月時点では前年とほぼ同じ水準となるなど、回復の程度も緩やかであることが読み取れる(図11)。
図11 脱脂粉乳の卸売価格と介入買入在庫の推移

 このように、バターについては、特に需給が引き締まる状況に入ってきたと言えるが、注目される介入買入在庫の取り扱いについては、11月第一週時点においては、2010年に生活困窮者への食料援助の一環として、バターと脱脂粉乳の介入買入在庫が活用されることが検討されているのみで、域内市場への放出の時期および量とも明らかとなっていない。欧州委員会は、「介入買入在庫の市場への放出は、市場の動向を見極め、域内乳製品市場の回復を阻害しないよう慎重に行う必要がある。」との姿勢を崩していないが、域内流通団体は、バターの介入買入在庫の一部の放出検討を欧州委員会に要請しているもようであり、今後介入買入在庫の取り扱いが注目される。

域内外の乳製品市場の回復を受け、輸出補助金はバター類を除きゼロに

 域内市場の悪化を受け2009年1月23日より再導入されていた乳製品の輸出補助金は、域内外の乳製品市場の回復を受け、10月23日より、チーズは従前の単価が維持されたものの、脱脂粉乳については全額カット、全粉乳は50%、バターは42%の大幅なカットとなったところであるが、11月6日より全粉乳、チーズについては全額カット、バターについては62%のカットとさらに削減された(図12)。この結果、バター類(バター、バターオイル)を除き乳製品の輸出補助金は再びゼロとなったことになる。

 輸出補助金の取り扱いについては、フィッシャー・ボエル委員(農業、農村担当)が10月19日の農相理事会の場で、「いつ輸出補助金をやめるかについては、国際市場の改善状況を考慮しなければならない。」と少し踏み込んで発言したこともあり、バターの輸出補助金についても、域内外の乳製品市場の動向を踏まえ、時期を見てさらなる判断が下されるとみられる。

図12 2009年における輸出補助金単価の推移

  ※今般の酪農情勢については、海外駐在員レポート「酪農危機打開に向けた欧州委員会の施策
    においても詳述しているので、参照されたい。

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