需給動向 海外

◆飼 料◆

ロシア、天候に恵まれトウモロコシ、小麦とも生産量は過去最高


◇絵でみる需給動向◇


米国農務省海外農業局(USDA/FAS)が2008年11月に公表した世界農産物生産(World Agricultural Production)によると、ロシアにおける2008/09年度のトウモロコシ、小麦の生産量は、生育環境が良好であったことから、ともに過去最高になるとの見通しが示されている。

小麦生産量、単収が増加し30年ぶりに記録を更新

 ロシアの2008/09年度(7月〜翌年6月)の小麦収穫面積は、前年度を9.0%上回る2,670万ヘクタールとされ、生産量は、30年ぶりに記録を更新し、前年度を27.5%上回る6,300万トンが見込まれている。なお、収穫は10月中にほぼ完了したとしている。

小麦生産量が記録的となったことについては、好天に恵まれたことによる単収の増加が挙げられている。シベリア地域、ウラル地域の春小麦の単収は、干ばつの影響から減少したが、冬小麦生産量の大半を占める南部地域、中央地域、沿ヴォルガ地域での単収が著しく増加したことが挙げられており、同年度における単収は、過去最高であった18年前の2.05トン/ヘクタールを15.1%上回る2.36トン/ヘクタールが見込まれている。

USDA/FASによると、ロシアの農業技術は、過去10年間にわたり、緩やかであるが確実な改善がなされているとし、特に種子の改良や農機具の整備が行われてきたことが挙げられている。しかし、ロシアで生産される肥料の9割以上が輸出向けであるため、国内需給のひっ迫により、手ごろな値段で肥料を購入することができない背景があり、このことが、最適な施肥の妨げとなり、単収の伸びを阻害しているとも指摘している。

ロシアにおける小麦の生産量と単収

トウモロコシ、45年ぶりの作付面積拡大で生産量は過去最高

 ロシアの2008/09年度(10月〜翌年9月)のトウモロコシ生産量は、南部地域の一部で、乾燥した天候が続いていたが、生産地は全般的に、温暖な天候と適度な降雨に恵まれたことで、前年度を64.6%上回り過去最高となる650万トンが見込まれており、収穫面積は、前年度を23.1%上回る160万ヘクタール、単収は前年度を33.6%上回る記録的な4.06トン/ヘクタールとなっている。なお、収穫面積のほぼ三分の二が10月中に刈り取られており、例年ペースで進めば、11月中旬までの完了が見込まれている。

 作付面積は、45年ぶりとなる記録的な広さで187万ヘクタールが見込まれている。生育期である7、8月の天候は、前年が熱波に襲われたように、この2年間は生育に適した天候ではなかったが、この数年間にハイブリッド種(交雑種)が普及したことで、トウモロコシの単収は押し上げられている。

 年度当初の見通しでは、ハイブリッド種が不足していたこと、また、従来トウモロコシが作付けされてない地域にまで作付けが拡大したことで、単収の減少が見込まれていたが、良好な生育環境がこれを跳ね返している。

ロシアにおけるトウモロコシの生産量と単収


元のページに戻る