需給動向 海外

◆米 国◆

好調な豚肉輸出であるが減速懸念


◇絵でみる需給動向◇


9月の豚肉輸出量は引き続き大幅増

 米国農務省(USDA)によると、2008年9月の豚肉輸出量は前年同月を41.0%上回る15万4千トンとなった。豚肉の輸出量は91年以降前年を上回ってきたが、2008年に入ってからはその増加率が拡大しており、2008年1〜9月の累計では164万1千トンとなり前年同期を65.8%上回った。

 図1は2006年1月以降の豚肉輸出量の推移を国別に示したものであり、9月は上位7カ国で全輸出量の84.8%を占めている。このうち約3割を占める最大の輸出先である日本向けは4万9千トンと前年同月比37.1%の増加、第2位のメキシコ向けは2万3千トンと前年同月比71.3%の増加と引き続き好調なほか、ロシア向けが1万8千トン(98.1%増)、香港向けが1万2千トン(72.5%増)と増加率は鈍化傾向にあるもののまだ高い伸び率となっている。一方、ピーク時の2008年5月、6月にはともに3万2千トンを輸出していた中国向けは、オリンピック終了や国内生産の回復から9月はその10分の1以下の2千トンとなっている。

図1 米国の国別豚肉輸出量の推移

 

ここまで順調に輸出を伸ばしてきた米国の豚肉であるが、米国農務省経済調査局(USDA/ERS)は、今後は世界経済の景気の後退やドル高により輸出は弱まり、2009年の豚肉輸出は2008年を11.2%下回る204万トンになると予測している。

豚肉輸入量は前年同月を下回って推移

 一方、米国の豚肉輸入は、カナダから主に生肉・冷蔵肉を、デンマークやメキシコなどから冷凍肉を輸入している。
 9月の豚肉輸入量は前年同月を21.3%下回る2万7千トンとなった。2007年3月に4万トンあった輸入量は、同年11月には3万5千トンを割り、2008年8月には3万トンを割るなど減少傾向が続いている。2008年1〜9月の累計輸入量は27万9千トンとなり、前年同期を16.6%下回っている。

 図2は2006年1月以降の豚肉輸入量の推移を国別に示したものである。輸入量の7〜8割を占めているカナダからの輸入量の推移がほぼ全体の輸入量の推移とリンクしている。カナダからの輸入量の減少は、カナダにおける養豚経営の収益性が飼料価格の高騰などにより悪化した結果、豚飼養頭数が減少していることによる。

図2 米国の国別豚肉輸入量の推移


生体豚の輸入も減少

 米国に輸入される生体豚は、ほぼ100%カナダからのものとなっている。そのうち肥育豚の素豚となる50キログラム未満の肥育素豚は10年以上に渡って増加してきた。しかし2008年1月に71万7千頭輸入された以降は減少傾向にあり、9月は55万8千頭となっている。カナダの豚飼養頭数の減少や米国における食肉の原産地表示の義務化を受けてこの傾向は続くものと考えられる。(図3)

図3 米国の肥育素豚(50kg未満)輸入頭数の推移

 2009年の豚肉輸入についてUSDA/ERSは、米国の国内生産量が減少すること、またカナダからの生体豚の輸入が減ることや、為替環境がカナダドル安であることからカナダからの豚肉の輸入が増えるとして、2008年の輸入量を2.2%上回るものと予測している。



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