生乳生産量、2009/10年度は乳価引き下げなどから多くとも前年度並みの見込み
デイリーオーストラリア(DA)は6月3日、2009年度の酪農の現状および見通しに関する報告書を発表した。これによると、2008/09年度の生乳生産量は、シーズン当初、初期乳価が高く酪農家の増産意欲が高まったことなどから、良好なスタートを切ったが、南部を中心とした天候不良や期中での異例の乳価切引き下げによる乳牛飼養頭数規模の縮小、補助飼料の使用率の低下などから、生乳生産量は、前年度並みの920万キロリットルと見込まれている。
2009/10年度については、搾乳牛の更新率が低いものの、ほとんどの地域で飼料の供給状況が好転すると見込まれ、搾乳牛のとう汰頭数が減少することから、ピーク時の搾乳牛飼養頭数は前年度より2〜3%増加するとみられている。一方、乳価が前年度比で10〜15%低下すると見込まれることや、南部のビクトリア(VIC)州北部では搾乳牛飼養頭数の減少が見込まれるなどから、生乳生産量は、前年度を2.2%下回る900万キロリットルから前年度並みの920万キロリットルと予測されている。
酪農経営に対する期待感が低下するも、増産意欲は継続
DAが千戸の酪農家を対象に行った2009年の経営意識調査(2009年2〜3月実施)によると、将来の酪農経営に楽観的であると回答した酪農家は、66%と2008年の78%から12ポイント減少した。また、回答者の76%が乳価引き下げの影響を受けたとしている。楽観的であると回答した酪農家の割合を地域別に見ると、飲用向け比率の高いニューサウスウェールズ(NSW)州北部およびクイーンズランド(QLD)州南部では、高水準の乳価、良好な天候要因から、81%と最も高い。一方、加工原料向けの比率の高いVIC州北部およびNSW州南部リベリナ地域では、乳価の引き下げや乾燥気候を背景に、51%と最も低かった。このように、地域間で酪農家の経営意識に大きな違いがあることがうかがえる。
なお、同調査によれば、今後3年間で生乳生産量を増加すると回答した酪農家が全体の約6割を占めるなど、昨年の調査と同様、将来的な増産意欲は高いことから、3年後の2011/12年度の生乳生産量は、天候条件が平年並みであることを前提にした場合、970万〜1,010万キロリットルと増加すると見込まれている。
2009年1〜3月、チーズの生産量、輸出量とも減少
2008/09年度(2008年7月〜2009年6月)の3月までの生乳生産量は、前年同期比2.2%増の759万1,400キロリットルとなった。しかし、単月で見ると、2月は同2.2%減と減少に転じ、3月も同0.6%増とわずかな増加にとどまった。また、乳製品の生産量は、バター、脱脂粉乳、ホエイ製品などでそれぞれ増加したが、チーズ、全粉乳については、それぞれ減少した。チーズの生産量を見ると、全体の約半分を占めるチェダーチーズが同9.1%増の14万8千トンとかなり増加したもの、全体の約2割を占めるフレッシュチーズが同22%減の4万8千トンと大幅に減少した。また、品目別の輸出量は、バター(バターオイルを含む。)が、同3.5%増の4万6千トン、脱脂粉乳(バターミルクパウダーを含む。)が同35.4%増の12万8千トン、全粉乳が同29.6%増の12万5千トンとそれぞれ増加したが、チーズは同35.5%減の10万2千トンと大幅に減少した。
1〜3月の生乳および主要乳製品の生産量の推移
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