需給動向 海外

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3月より開始された介入買入(バター、脱脂粉乳)の延長実施を検討へ


◇絵でみる需給動向◇


 直近のEU域内のバターおよび脱脂粉乳の卸売価格は、ともに介入買入単価注1とほぼ同じ水準を維持している。これはバターおよび脱脂粉乳の介入買入とバターの民間在庫補助により、需給の不均衡が調整されているからにほかならず、これらの措置が予定通り8月をもって終了注2となれば、域内市場が急激に悪化することが懸念される状況となっている。また、介入買入と民間在庫補助により市場隔離されている在庫量がバターで16万9千トン、脱脂粉乳で18万4千トンに達していることも、域内市場のマイナス要因となっている(図1参照)。

 このような中で、欧州委員会のフィッシャー・ボエル委員(農業・農村開発担当)は、5月末に開催された農相会合の場で、バターおよび脱脂粉乳の介入買入とバターの民間在庫補助について、それぞれの実施期間の延長の可能性に言及した。介入買入の実施期間については、わが国の法律に相当する理事会規則(EC1255/1999)で規定されており、その改正は容易ではないことに加え注3、介入買入の延長実施に膨大な予算が必要となることを考えれば、同委員の発言からは、欧州委員会が重大な決断を伴う措置であっても、介入買入を延長せざるを得ないという現状認識であることがうかがえる。

 なお、6月4日の乳業管理委員会においてEUの乳製品に係る輸出補助金が増額されたが、現在の為替相場におけるユーロ高基調がEU産乳製品の国際競争力を弱めており、その効果は限定的とみられる(表1参照)。

図1 乳製品にかかる支援措置の対象数量(累計)
表1 輸出補助金の単価(6月4日現在)

  注1: 6月4日時点の介入買入単価は、100キログラム当たりバター:220.00ユーロ(約29,920円:
      1ユーロ=136円)、脱脂粉乳169.90ユーロ(約23,106円)。

  注2:介入買入の実施期間は、わが国の法律に相当する理事会規則(EC1255/1999)により毎年
      3月1日から8月31日までと規定されている。また、2009年における民間在庫補助の実施期
      間(申請受付期間)は、わが国の政省令に相当する委員会規則(EC1182/2008)により、1月
      1日から8月15日までと規定されている。

  注3:民間在庫補助の実施期間は、委員会規則(EC1182/2008)で規定されているため、比較的簡
      単な手続きで対応可能。実際、2009年の始期についても例年の3月1日から2カ月前倒しされ
      1月1日とされた経緯がある。


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