2009年の豚肉生産量は前年比3.6%減の2,179万トンとの予測
欧州委員会が5月11日に開催された豚肉助言グループの予測委員会の議論を踏まえ取りまとめた豚肉需給見通しによると、2009年のEUの豚枝肉卸売価格は100キログラム当たり146.80ユーロ(約19,965円:1ユーロ=136円)となり、豚肉生産量の減少と域外輸出の増加により堅調であった2008年の153.24ユーロ(約20,841円)には及ばないものの、平年(2003〜2007年の平均)と比較すると高水準で推移すると見込まれている。
2009年の域外への豚肉輸出量は、豚肉に係る輸出補助金の停止と2008年後半に深刻化した経済危機により、好調であった2008年(255万トン)を下回ると見込まれている。一方、2009年の豚肉生産量は、繁殖母豚を中心とする飼養頭数の減少を受け、前年を大きく下回る(前年比3.6%減の2,179万トン(枝肉ベース))ことが見込まれている。こうしたことから、同委員会は域内市場が堅調に推移すると判断したとみられる。
EUの豚枝肉卸売価格は、2009年5月末時点で、100キログラム当たり146ユーロ(約19,856円)程度まで回復しているが(図1)、欧州委員会の予測によると、今後は、第2四半期平均:145.49ユーロ(約19,787円)、第3四半期平均:157.98ユーロ(約21,485円)、第4四半期平均:146.82ユーロ(約19,968円)と好調であった2008年には及ばないもののそれに準ずる水準で推移すると見込まれており、新型インフルエンザの域内市場への影響は無視できる水準とみることができる。
図1 豚枝肉卸売価格の動向(EU平均)
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主要豚肉生産国の価格もEU平均価格と連動する形で推移との見通し
主要豚肉生産国における価格動向もEU平均価格と同程度に推移すると見込まれている。表1は、豚飼養頭数上位6カ国における豚枝肉卸売価格動向を示したものであるが、生産の合理化が進んでいるデンマークおよびオランダでは卸売価格が相対的に低い傾向にあるものの、総じてEU平均価格に連動する形で卸売価格が推移すると見込まれていることがわかる。
なお、ポーランドについては、2007年までは主要豚肉生産国の中でも価格競争力を有する存在であったものの、2008年以降は独自通貨(ズウォティ)の対ユーロ為替相場の影響もあり、価格競争力が急激に低下したことが読み取れる。既報(畜産の情報2009年6月号)のとおり、ポーランドは、豚の総飼養頭数が2008年に前年比で19.2%も減少した影響で、2008年からは豚肉の純輸入国となっており、欧州委員会の推計によれば、2009年には少なくとも10万トンの豚肉の輸入が必要とみられる。
表1 主要豚肉生産国における豚枝肉卸売価格の動向
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