例年、大型連休を迎える4月後半から夏場にかけて需要のピークを迎えることから、4月を境として卸売価格は上昇に転じる。平成21年4月は生産量が前年をかなり上回ったこと(前年同月比6.5%増)、大量の国産品在庫を抱えていたことから、月を通じて相場安となり、農林水産省の食肉流通統計によると、21年4月の平均卸売価格は、前年同月比24.9%安のキログラム当たり413円と、過去10年間でもっとも安かった12年4月の同404円に次ぐ低い水準となった。
こうした状況の中、4月下旬には海外において新型インフルエンザのブタからヒトへの感染が報告されたことから国内の豚肉消費の動向に少なからず影響を与えるのではないかと懸念された。
新型インフルエンザの発生に対しては、日本向けに輸出される生体豚の全頭について精密検査の実施、さらには食品安全委員会から「豚肉は安全です」宣言が出されるなど、迅速で的確な対応がなされたことから、消費者の対応は総じて冷静であった。東京市場の省令価格を見ても4月30日以降、逆に値を上げ、5月に入ってからは一時的にキログラム当たり537円を記録したが、これは大型連休明けの需要増に対する反応であり、その後の価格は、400円後半から500円前半で推移している(図2)。
しかしながら、輸入牛肉が低価格で販売されるなど、牛肉の消費も徐々に回復してきているとも言われていることから、昨年度から大量に積み増されている国産品、特にロースなどの高級部位の在庫調整をいかに行うかが、今後の課題である。
図2 豚肉の枝肉卸売価格の推移(東京・省令)
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