2008/09年度の1農家当たりの収益は、昨年度に引き続き黒字
豪州農業資源経済局(ABARE)は5月下旬、2008/09年度(7〜6月)における穀物生産農家の経営見通しを公表した。これによると、2008/09年度における1農家当たりの収益は、昨年度に引き続き黒字が見込まれる。
穀物生産農家は、畜産との兼業が多いことから、現金売上には穀物以外に、羊肉、羊毛、肉牛などの売上げも含まれる。今回の報告書では、農家間の経営状況を把握するため、現金売上に占める穀物の売上の割合により、穀物生産農家は4つの階層に分類されている。
全階層平均では、2年連続の増収
1農家当たりの現金収入を全階層平均で見ると、2006/07年度は、100年に一度と言われる干ばつの影響で著しく悪化したが、2007/08年度は、天候の回復に伴う穀物生産の増加、穀物価格の上昇により現金売上が増加したことなどから、前年度比約2.1倍の121,700豪ドル(948万円:1豪ドル=77.9円)と見込まれている。2008/09年度については、2008年後半以降の穀物価格下落の影響こそあったものの、穀物生産は良好であることなどから、前年度比20%増の145,900豪ドル(1,137万円)と見込まれる。
各階層間では経営状況に隔たり
また、1農家当たりの現金収入を階層別に見ると、穀物生産の割合が低い農家(現金売上に占める穀物の売上の割合が20%未満)および中位の農家(同:20%以上〜50%未満)について、2007/08年度は、改善が見られないが、2008/09年度は、良好な穀物生産、肉牛売上の増加などにより、前年度比でそれぞれ大幅な増加が見込まれる。なお、農家収益については、穀物生産の割合の低い農家は昨年度に引き続き赤字、中位の農家は昨年度の赤字から黒字に転じている。一方、穀物生産の割合が高い農家(同:50%以上〜80%未満)および非常に高い農家(同:80%以上)について、2007/08年度は、前年度比でそれぞれ大幅に増加したが、2008/09年度は、穀物生産の割合が非常に高い農家では、穀物価格下落の影響を大きく受けたことなどから、前年度比で減少が見込まれる。しかし、これら2つの階層における農家収益については、昨年度に引き続き黒字が見込まれる。
穀物生産農家の規模拡大に対する投資余力は大きい
ABAREは、今後の経営見通しについて、穀物生産農家は、概して、保有資産額が多いことや現金収入の増加などにより、規模拡大に対する投資余力は大きいとみている。しかし、高い資産評価の背景には数年来の地価の高騰があることから、規模拡大のために必要な資金の借り入れには、担保となる土地の価格が現行の水準\を維持することが前提となるとしている。
穀物生産農家の経営見通し(1農家当たり、全階層平均)
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