本年2月から上海に向け輸出開始熊本県の生乳生産者団体、熊本県酪農業協同組合連合会(吉田孝壽会長、ブランド名「らくのうマザーズ」、以下「熊本県酪連」という。)は、本年2月から中国、上海に向け「LL大阿蘇牛乳(1リットル)」の輸出を始めている。熊本県酪連は、すでに一昨年の2月から香港向けに、また、昨年の8月から台湾向けに事業を海外展開しており、今回は、これまでに培った「輸出ノウハウ」を踏み台として、中国、上海にジャンプした格好である。また、最近では上海を飛び出し、広東省、広西チワン族自治区にまで足を伸ばしており、鼻息が荒い。 海外展開は、売上げを上回る「波及効果」熊本県酪連によると、海外への事業展開は、販売チャネルの一つとしての位置付けで、国内における牛乳消費量の低迷を打開するため、市場を海外に求めたことによるが、この海外に熊本県産牛乳を輸出するという「外向き志向」は、単に売上高のアップに貢献するだけにとどまらず、高齢化による担い手不足、飼料高などの「向かい風」が吹く県内酪農業の中にあって、酪農家の「生産意欲」を高めるなどの目に見えぬ「波及効果」を生み出しているという。 高価格でも安全・安心が「追い風」 上海での販売先は、現在のところ、日系スーパー約20店舗で、1カ月当たりの輸出数量は9千本程度(輸送は1コンテナ単位)が見込まれている。また、1リットルパックの販売価格は29.8元(417円、1元=14円)に設定されており、この価格水準は中国産牛乳の倍以上となる。 とりあえず、「LL大阿蘇牛乳」のネームバリューを定着 熊本県酪連によると、上海進出への経営スタンスは、市場規模の拡大が見込まれている中国市場に対しての先行投資的な意味合いが含まれているとした上で、とりあえず、上海市場に熊本県産ブランド「LL大阿蘇牛乳」のネームバリューを定着させていくことに軸足を置くとし、目先の果実にとらわれることなく、将来を見据えた経営戦略により、現在の小さなつぼみを大きく花開かせたいと意気込んでいる。 |
元のページに戻る