飼養頭数、稼働率とも前回調査に比べ減少
豪州フィードロット協会(ALFA)は4月20日、豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)との共同調査による四半期ごとの全国フィードロット飼養頭数調査結果を発表した。これによると、2009年3月末時点の総飼養頭数は65万頭となり、前回調査(2008年12月末)比で9.6%減とかなりの程度減少した。一方、フィードロットの収容能力頭数は前回調査比で1.7%増の124万4千頭と前回に引き続き増加したことから、フィードロット稼働率は52%と、前回調査時から7ポイント低下した。 また、飼養頭数は、前年同期比で7.6%の増加となったが、87万〜94万頭で安定的に推移していた2006年3月期〜2007年6月期に比べると、大きく下回っている。
飼養頭数を州別に見ると、最大の肉牛生産地であるクイーンズランド(QLD)州で前回調査比14.2%減とかなり減少しており、第2位のニューサウスウェールズ(NSW)州でも17.6%減と大幅に減少した。主要2州以外では、ビクトリア(VIC)州や西オーストラリア州(WA)でそれぞれ増加したが、これは季節的な要因であるとしている。
州別飼養頭数内訳
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減少要因としては、海外市場における 牛肉需要の低迷や前回調査の反動
飼養頭数の減少についてALFAでは、世界的な金融危機の影響で海外市場における牛肉需要が不透明な中、バイヤーによる買い控えが一つの要因とみている。また、前回調査(2008年12月末)の飼養頭数は、前々回調査に比べ15.5%増となったが、これは、QLD州で、乾燥気候の影響を受けた北部地域の牛が数多くフィードロットへ導入されたことが大きく、今回の調査時点では、当該牛のフィードロットでの飼養が終了していたことも減少要因として挙げている。
また、MLAは、牛肉の出荷仕向け先について、日本および韓国向けは、経済停滞による牛肉需要の低迷、米国産牛肉との競合などにより、減少しているとしている。一方、国内向けは、前回調査比16%増と大幅な増加が見られるとしている。
飼養頭数は減少するも、生産コストの低下など明るい兆しも
ALFAでは、今回、飼養頭数は減少したものの、生産コストについて、この四半期(2009年1月〜3月)における素牛価格、飼料穀物価格は、前四半期(2008年10月〜12月)と比べ、それぞれ平均で4%、5%低下している。また、輸出環境についても、主要通貨に対し豪ドル安で推移する為替相場が輸出競争力を高めるなど、豪州フィードロット業界にとって明るい兆しが見られる。こうしたことから、同業界は、国内外の市場において穀物肥育牛肉の需要が回復すれば、増頭に向けて速やかに対応できるとしている。
フィードロット飼養頭数などの推移
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