シンガポール駐在員事務所 佐々木 勝憲、林 義隆
1.はじめに タイのバンコクで、3月11〜13日、畜産展示会「VIV Asia 2009」が開催された。 「VIV」はヨーロッパ、中国、ロシア、インド、南米など世界各地で開催されている国際的な畜産展示会で、「VIV
Asia 2009」は今回で9回目の開催となる。 2.VIV Asia 2009の概要「VIV Asia 2009」の開会式は、アピラック首相顧問を司会者に迎えて行われた。開会あいさつの中でアピラック首相顧問は、 VIV Asia がアジア太平洋地域で開催される畜産関係者にとって最も重要な会合であると強調した上で、世界各国から関係者が集うこの場で、低コストで生産性を向上させるために、技術や市場動向などの経験を交換しあうこの機を十分活用してほしいと語った。
さらに、イスラム教の教義にのっとっていることを示す「ハラル」認証が、食品輸出大国を目指すタイにとって重要であるという説明があった。 2日目には、タイ畜産協会やタイ鶏卵生産者協会などの共催による全体会合「卵の奇跡」が開催された。学者だけはなく、ニュースキャスターをもパネリストに迎え、卵がいかに栄養的に優れた食品で、安価な上に健康維持に役立つかが紹介された。また、輸出の振興として、海外で認知されている高付加価値卵が紹介された。 引き続き、タイ畜産協会やタイ養豚協会などの共催による全体会合「養豚業界の市場成長に対する障壁」が開催された。ここでは、常に養豚業界を脅かす各種の疾病とその対応が紹介されるとともに、貿易における障壁として、日本、シンガポール、香港、韓国を例に、輸入国によって加熱処理の条件が異なるといった規制の違いや、日本との間に締結された日タイ経済連携協定(JTEPA)における、豚肉調製品の関税割当の割当数量や枠内税率に対する不満などが紹介された。さらに、こういった障壁に対する交渉に当たるには、関係者だけではなく、多くの人々の共感と支援を得る必要があると訴えていた。 VIV Asia 2009 の展示会には、主催者発表によれば、41カ国から568の出品者が参加し、うちベルギー、中国、フランス、英国、イスラエル、イタリア、韓国、オランダ、スペイン、米国の10カ国はパビリオンでの展示となった。出品者のジャンル別内訳は、家畜衛生、飼料、栄養関連が64%、育種、飼養管理関連が23%、と畜、加工関連が13%となった。また、参加者は、初日が8,669人、二日目が8,199人と、初めの2日間で約1万7千人に達し、初日の参加者の約50%、二日目の参加者の約45%がタイ人以外の参加者とのことであった。
3.おわりに 通常の畜産関連の展示会と併催された全体会合ではあったが、タイの主要な畜産部門であるブロイラー産業ではなく、養豚、鶏卵業界の輸出、消費拡大がテーマとなった点が興味深かった。 |
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