需給動向 海外

◆飼 料◆

2008/09年度、改善著しい小麦、粗粒穀物の在庫水準


◇絵でみる需給動向◇


在庫量、小麦は前年度を約3割、粗粒穀物は約2割上回る

 米国農務省海外農業局(USDA/FAS:Grain:World Markets and Trade)によると、2008/09年度における世界の小麦、粗粒穀物の在庫量は、主要生産国・地域の豊作に支えられ、著しい改善が見込まれている。

 小麦在庫量は、記録的な豊作により生産量が前年度を12.0%上回ることから、前年度比39.1%増の1億6,705万トンが見込まれている。また、粗粒穀物在庫量も、生産量が記録的であった前年度を上回ることで、前年度比14.9%増の1億8,351万トンが見込まれている。

世界全体の小麦、トウモロコシ、大麦の合計在庫量

世界貿易量の増加に貢献しない中国、ロシア、ウクライナの在庫量

 一方、FASによると、世界の在庫量の増加が、直接的に需給緩和にはつながらないとも指摘されている。

 この理由として、(1)中国の小麦在庫量は、前年度を25.5%上回る4,891万トンが見込まれ、これは世界の在庫量1億6,705万トンの約3割相当であるとした上で、食糧自給率について95%以上を維持するという中国政府の食糧安全保障上の政策から、総じて国内在庫が積み増されても輸出量の増加には結びつきにくいこと。特に、トウモロコシを主体とする粗粒穀物の在庫は増加しているが、輸出量の増加は見込まれないとの見方であること、(2)ロシア、ウクライナおよびインドの小麦在庫量も積み増されているが、歴史的に、これらの国は、自国の需給状況に応じて輸出制限を行うことから、国際市場には在庫の一部分しか出回らないこと−などが挙げられている。

実質的な穀物需給への影響は、米国、EUなどの在庫水準

 FASによると、世界の小麦貿易は、主要な輸出国・地域である豪州、カナダ、EU(27カ国)および米国に依存する構図であるとしている。また、2008/09年度における米国、EU(27カ国)の粗粒穀物在庫は、前年度を13.4%上回る6,583万トンに積み増され、世界の在庫量1億8,351万トンの4割弱を占めていることから、この在庫量が、世界の粗粒穀物の需給緩和に寄与していると指摘している。


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