総飼養頭数ではポーランドはフランスと入れ替わり第4位に
英国の農業・園芸開発委員会(AHDB)の資料によれば、2008年末のEU27における豚飼養頭数は前年比4.2%減の1億5,300万頭とやや減少した。主要豚肉生産国では飼養頭数はおおむね横ばいとなっている中で、ポーランドおよびデンマークでは、それぞれ同19.2%減の1,420万頭、同7.4%減の1,220万頭と大きく減少した。この結果、2007年末では飼養頭数第3位であったポーランドは、フランスと順位が入れ替わり、2008年末では第4位となった。
EU27における豚飼養頭数の推移
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デンマークにおける飼養頭数の減少の影響は限定的との見方
EU全体での飼養頭数の減少は、2007年後半から2008年にかけて飼料原料などの生産資材価格の高騰が養豚経営に深刻な打撃を与えた結果と考えられ、特に零細経営が多く生産合理化が途上段階にあるポーランドや飼料原料の購入依存度が高いデンマークでその影響が大きかったと見ることができる。しかしながら、英国の調査機関であるGIRAの分析によれば、EU最大の豚肉生産国であるドイツで飼養頭数の減少が緩やかであったのは、隣国であるデンマークおよびオランダから子豚が大量に輸入されたことを考慮する必要があるとしている。(※)両国では近年、厳格な環境規制に対応しつつ、養豚経営を維持・拡大するため、繁殖部門を強化し、子豚をドイツに輸出する動きが活発化しており、これがドイツの養豚主産地(ニーダーザクセン州、ノルトライン・ヴェストファーレン州)における強い子豚の需要にマッチした形となっている。
なお、GIRAによれば、デンマークにおいては、養豚関連施設の近代化や将来見込まれるアニマルウェルフェア関連規則への対応の面で優位性があり、より生産性の高い繁殖母豚群への更新も進んでいるとみられることから、2008年における飼養頭数の減少の影響は限定的で、今後飼養頭数は上向きに転ずる可能性があるとしている。
(※)GIRAの推計では、ドイツの2008年におけるデンマークおよびオランダからの子豚の輸入頭数はそれぞれ約5百万頭、約250万頭とされている。
主要豚肉生産国における飼養頭数の変化率(2008年/2007年)
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