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2008年の農業概要を公表


 欧州委員会は4月17日、2008年のEUの農業に関する統計と経済情報に関する報告書を公表した。

 世界的に高騰した農産物価格は、2008年後半には下降に転じ、特に、穀物、乳製品にその傾向が見られた。一方、生産費は、燃料、飼料などの高騰により大幅に増加し、その結果、EU全体の農業収入は前年と比較して4.6%の減少となった。

畜産物の動向

 主な畜産物の動向は以下のとおり。

・牛肉

 牛肉の生産量は、2007年に引き続き飼養頭数の減少により2008年当初は大幅に減少したものの、後半の酪農分野の収益性の低下により、乳用経産牛の出荷頭数が増加したことから、最終的には前年比1.8%減とわずかな減少で収まった。

・豚肉

 2007年の飼料費などの高騰により収益性が低下し、この影響を受けて2007年末の飼養頭数が減少(前年比1.4%減)したことから、2008年の豚肉の生産量は前年比1.6%減となった。一方、EU域外への輸出量(特にロシア、香港、日本)は、同29.7%増と大幅な増加を見せている。しかし、EU域内では、2004年5月に加盟した10カ国(EU10)の購買力や需要、為替相場の動向により状況が大きく変化しており、従来からの加盟国であるEU15カ国からEU10への域内貿易は2008年11月には前月比67%減と大幅に減少したとしている。

・家きん肉

 家きん肉の生産量は、ほかの肉類と比較してその時々の状況に応じた生産調整が行いやすいことから、相対的に価格、需要ともに良好で、前年比0.8%増とわずかであるが増加となった。肉類生産量の中で唯一の増加となっている。

・乳製品

 バターの生産量は、世界的な相場急落や民間在庫の積み増しはされたが、ほぼ前年並み(前年比0.3%増)となっている。一方、域内消費量は縮小(同0.7%減)、需要の低迷や米国やニュージーランドとの激しい輸出競争により2007年に22万6千トンあった輸出量は大幅に減少し、14万3千トン(同36.7%減)となっている。

 脱脂粉乳の生産量は、輸出量の大幅な減少(同19.0%減)やEU域内の需要の縮小(同4.0%減)などにより、前年と比較してかなりの程度減少(同6.0%減)した。また、EU域外への輸出については、子牛農家において、脱脂粉乳よりも早く価格の低下したホエイを飼料用脱脂粉乳の代替品として使用、そのシェアが高くなったことや、米国やオセアニア諸国からの低価格商品の輸出増により国際競争力が弱まったとしている。



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