2000年と比べ数量で10倍以上の増加
国別の輸出量では、2008年2月に2国間の貿易協定(食料(アルゼンチン)とエネルギー(ベネズエラ)のバーター取引)を締結したベネズエラが前年比10倍以上の3万トン、次いで従来からの主要輸出先であるチリが同4.1%増の2万8千トン、中国が11.8%増の2万5千トンなどとなっている。品目別では、中国や香港には主にモミジが輸出され、そのほかの国には主に丸どりで輸出されている。 なお、大きさでは、ベネズエラやチリなどにはと鳥時の重量が1羽当たり2.7キログラム程度(国内消費用と同水準)、アジアや中東諸国などには1.2〜1.6キログラムのものが輸出される。
鶏肉輸出の大幅な増加の要因などについて、アルゼンチンの養鶏加工協会(CEPA)に対し聞き取りしたところ、以下のとおりであった。 1 2002年以降、輸出が大幅に増加している要因について 「4点の要因が挙げられる。1点目は、2002年の変動相場制の導入により、ペソ安になったことから、鶏肉輸出に価格競争力がついたこと。2点目はアルゼンチンではブラジルと同様に鳥インフルエンザの発生がないこと。3点目は、近年、チリや中国、そしてベネズエラなどからの需要が旺盛であったこと。4点目は、業界主体で2003年〜2015年までの生産・消費・輸出の目標数値を定めた「鶏肉産業成長計画」により、インテグレーションのさらなる推進、生産施設の自動化、冷蔵施設の整備、衛生管理の強化などを行ってきたことによる。」 ちなみに、冷蔵・冷凍鶏肉の輸出は、輸入国が要求する衛生条件を満たしている旨のSENASAの承認が必要である。2000年にはこの承認を得た企業は4社であったが、現在は25社となっている。 2 今後の輸出戦略について 「アルゼンチンは現在60の市場(国および地域)に鶏肉を輸出しているが、ブラジルの輸出量に比べれば、1割にも満たない。輸出戦略は基本的に企業ごとに任せているが、業界団体として今後はアジア・アフリカ諸国、ロシアなどに積極的に販売促進を行って輸出増加を図っていきたい。 日本向けの輸出(2008年でほとんど実績なし)については、品質的にはブラジル産と変わらないと思う。しかし、日本の需要者に応える大きさのパーツに揃えるためには、工場の製造ラインの整備や人員の増強などが必要であることから、資金や人員確保に問題があり、対応しづらい。その結果、丸どりやモミジなどの輸出に流れてしまう。業界としても、日本向け輸出が少しでも伸びることを期待しているが、なかなか良い手段が見つからないのが現状である。」 2009年1月〜3月のアルゼンチンの鶏肉輸出は、2008年9月の米国に端を発した国際金融危機の影響の中でチリや中国向けの減少に加え、2008年の大幅な輸出増加の反動からベネズエラやアンゴラといった産油国向けなどへの輸出も減少したことから、数量で前年同期比1.9%減の3万8千トン、金額で同23.5%減の4,300万ドル(42億6千万円)となった。今後は、金融危機の影響がどこまで続くかにもよるが、上記諸国に対してどの程度輸出を伸ばすことをできるかが注目される。 |
元のページに戻る