EU統計局(EUROSTAT)が2008年12月公表したEU農業生産者の収入に関する統計によると、2008年のEU農業生産者1人当たりの農業労働投下を加味した農業収入は、前年比4.3%減と、2年ぶりの減少となった。これは、農業労働費は2.1%減少したものの、農業実収入が6.3%減少したためである。このうち農業実収入の減少は、生産額が増加(4.3%)したものの、生産費の急騰(10.8%)による支出の増加、直接支払いなどの助成金の減少(▲1.5%)および消費者の購買力低下が進んだ結果からとなっている。 このうち生産費の上昇については、主に、肥料費(52.8%)、燃料費(13.6%)、飼料原料費(10.8%)の上昇によるものである。 畜産物の生産額は6.3%の増加昨年に続き増加している生産額は、耕種作物では3.0%の増加、畜産物では6.3%の増加となっている。 このうち、耕種作物の生産額の増加については、生産者価格は低下(▲3.0%)したものの生産量が増加(6.2%)したことによるもので、特に、穀物(20.5%)、菜種(10.0%)の生産量が大幅に増加しており、ほとんどの加盟国において増加となっている。 畜産物を見ると、飼料費が生産費の約5割を占める豚肉は、生産量は前年とほぼ同水準(▲0.7%)であったものの生産者価格が9.3%上昇したことから、生産額は8.5%増加した。また、牛乳の生産額も、昨年同様増加(8.8%)しているが、これも生産量が前年並み(0.7%)にもかかわらず、生産者価格が8.1%上昇したことによるものである。 ブルガリア、ルーマニアおよびハンガリーでは大幅に増加農業収入の増減を加盟国別に見ると、27カ国のうち20カ国が減少となっている。加盟国のうち一番落ち込んだ国はベルギー(▲25.6%)となっており、エストニア(▲22.1%)、ラトビア(▲17.5%)が続いている。一方、増加した国を見ると、2007年1月に加盟したブルガリア(24.5%)、ルーマニア(21.4%)と2004年5月に加盟した10カ国の一つであるハンガリー(14.6%)が二ケタの増加となっている。 ※農業実収入とは、実質所得および農業に関する補助金から生産資材費および減価償却費を減じたもの。
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