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牛肉需要が不透明の中、フィードロット飼養頭数が増加(豪州)



すべての州で前回調査時より飼養頭数が増加

 豪州フィードロット協会(ALFA)は1月19日、豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)と共同で四半期ごとに実施している全国フィードロット飼養頭数調査の結果(2008年12月期)を公表した。これによると、2008年12月末時点の総飼養頭数は71万9千頭と、前回調査(2008年9月末:62万3千頭)比で15.5%増、前年同期比では23.1%増と回復している。

 州別では、いずれの州も前回調査時の頭数を上回っている。最大の肉牛生産地であるクイーンズランド(QLD)州では前回調査比13.3%増、第2位のニューサウスウェールズ(NSW)州で同6.1%増となり、増加頭数全体の64%を占めている。特にQLD州では、乾燥気候により素牛の市場への出荷が増加し、その結果フィードロット飼養頭数の増加につながった。また、主要2州以外では、前回調査において放牧環境の改善を背景としてグラスフェッドへの転換が進み、その結果フィードロット飼養頭数が減少したが、今回の調査ではいずれも大幅に飼養頭数が回復している。

州別飼養頭数内訳

 また、フィードロットの収容能力頭数は、122万3千頭と前回調査(113万3千頭)比8.0%増と3四半期ぶりに増加に転じた。この結果、フィードロット稼働率は58.8%と前回調査時の55.0%より3.8ポイント改善した。しかしながら、2007年6月期以前の80%前後という稼働率に比べ、依然として低水準となっている。

生産コスト低下などに伴い経営環境が改善する一方、金融危機などの影響により牛肉需要は不透明

 ALFAは今回、フィードロット飼養頭数が増加した要因として、主要通貨に対する豪ドル安のほか、素牛価格、飼料穀物価格など生産コストの低下により経営環境が好転したことを挙げている。豪州ドルは、この四半期(2008年10月〜12月)で3大牛肉輸出相手国である日本、米国および韓国の通貨に対し2〜32%安となった。また、飼料穀物価格は、供給量の増加などに伴い需給が緩和したことから23%と大幅に下落するとともに、素牛価格が4%低下した。このためフィードロット業者の生産意欲は改善しているものの、その一方で世界的な金融危機が牛肉需要に悪影響を及ぼす状況にあるとしている。

 またMLAは、現在の牛肉貿易は停滞しており、消費者が、経済状況の悪化に伴い、より安価な牛肉や牛肉以外のタンパク源を求めている状況において、今後の牛肉需要は不透明な状況にあるとみている。業界にとっては、グレインフェッド牛肉の主要な輸出市場である日本や韓国において、米国産牛肉の輸出が増加している影響も大きいとしている。

 これまでの飼料穀物をはじめとする生産コストの上昇や急速な豪ドル高に伴う厳しい経営環境は改善しつつあるものの、今後は、牛肉輸出市場における牛肉需要の動向が豪州のフィードロット経営に影響を及ぼすとみている。

フィードロット飼養頭数などの推移


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