指定生乳生産者団体による飲用向け乳価は、記録的な飼料価格高を背景として、昨年4月に1キロ当たり3円、今年の3月10円引き上げられ、これに伴い大手乳業メーカーは今年3月より牛乳の出荷価格を引き上げた。これは、生乳の生産コスト上昇分について消費者に負担を求めたものであるが、景気後退により消費者が節約志向を強める厳しい環境の中での値上げとなった。こうした中で、消費者の購買動向について日本酪農乳業協会(Jミルク)が公表した日経POS情報(調査対象店舗数は、3月29日現在320店(JミルクHPより)であり全国の店舗を対象としていないため、一つの目安として捉えていただきたい)で見ると、3月の牛乳販売数量は第1週(3日〜8日)レジ通過1000人当たり87.8本(1リットル紙パック)で前年同週比9.1%減、第2週(9日〜15日)は84.4本(同14.8%減)、第3週(16日〜22日)は83.5本(同16.4%減)、第4週(23日〜29日)は80.8本(同19.4%減)と大幅に減少しており、3月第5週(30日〜5日)では77.3本(22.1%減)と週を追うごとに減少傾向が強まっている(図4)。
一方、成分調整牛乳の販売動向について見ると、3月第1週は16.05本(前年同週比157.4%増)、第2週は17.17本(同172.1%増)、第3週は20.50本(同259.8%増)、第4週は20.60本(同211.5%増)と大幅に増加しており、3月第5週では21.42本(208.2%増)と引き続き前年同週の3倍となっており、牛乳より割安な成分調整牛乳を選択する消費者が増えてきているためとみられる。
また、牛乳全体(牛乳、加工乳、LL牛乳、低脂肪乳、成分調整牛乳の合計)では、3月第5週は108.35本で前年同週の119.91本に比べ9.6%減少となっている。今後、成分調整牛乳の需要がどの程度伸びるか、その販売動向が注目されるところである。
図4 牛乳・成分調整牛乳の販売数量(対前年比)
POS情報
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