2009年上半期の農業生産額の成長率は2.7%
鶏肉生産が堅調に推移 家畜部門の生産量を品目別に見ると、牛肉が前年同期比2.0%増の11万8千トン、水牛肉が同2.0%増の7万トン、生乳が同1.6%増の7千トンと増加傾向で推移する一方、ヤギ肉は同3.7%減の3万9千トンと減少に転じた。豚肉については、昨年は豚の主要飼養地域であるルソン地域において、豚流行性下痢や豚コレラなどの疾病が発生した影響によりやや減少したが、昨年フィリピン農務省(DA)が、3千万ペソ(約6千万円)の予算を計上し、ルソン地域の小規模養豚事業者を中心にワクチン接種を実施したことから、2009年上半期は同2.7%増の90万トンまで回復した。 家きん部門では、鶏肉が同4.1%増の61万3千トン、鶏卵が同7.4%増の18万3千トンとなった。一方、アヒルについては、アヒル肉が同6.7%減の1万9千トン、アヒル卵が同5.8%減の2万トンとなった。また、DAは2009年の家きん飼養羽数を公表したが、鶏が前年比2.8%増の1億6千万羽、アヒルが同1.0%増の1千百万羽となっており、全体の飼養羽数はおおむね増加傾向で推移している。また、鶏のうちブロイラーの飼養羽数は5千7百万羽で全体の約4割を占め、在来鶏の飼養羽数は7千7百万羽で約5割を占めている。近年、ブロイラーの飼養羽数は、インテグレーターによる設備投資などにより増加しているが、庭先養鶏が中心の在来鶏については飼養羽数がおおむね横ばいないし微増傾向で推移している。
トウモロコシ生産量はわずかに減少 耕種部門では、トウモロコシが前年同期比2.3%減の322万トンとなったほか、サトウキビが同24.4%減の1428万トン、キャッサバが同4.2%増の99万トンとなった。BASによると、トウモロコシ生産量の減少について、カガヤン・バレー地方でイネやキャッサバへの転作が行われたことや、北部ミンダナオ地方およびムスリム・ミンダナオ自治地域でキャッサバやパイナップルへの転作が行われたことにより耕地面積が減少したことを理由としている。また、サトウキビ生産量も大幅に減少しているが、生産地域のうちカピス州、西ネグロス州とセブ州において、肥料価格が高騰した影響により施肥量が不足したことが主な要因としている。 鶏肉価格は上昇傾向で推移 部門別の生産者販売平均価格では、豚肉が前年同の1キログラム当たり84.52ペソ(約161円)となったほか、鶏肉が前年比7.9%高の同80.57ペソ(約153円)となるなど、畜産および家きん部門ではすべての品目が前年並みもしくは前年を上回った。また、耕種部門のトウモロコシについても、同13.9%高の同12.54ペソ(約24円)となった。DAによると、2009年第1四半期に食用の白色トウモロコシの需要がコメの代替需要により増加し、第2四半期には飼料用の黄色トウモロコシの需要が増加した。これらの需要増加がトウモロコシおよび鶏肉価格の上昇に寄与したと考えられる。 |
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