直近のバターの介入買入数量はわずか64トンに
9月3日に実施されたバターおよび脱脂粉乳に係る直近の介入買い入れでは、双方とも買入数量が急減し、脱脂粉乳では3,800トン、バターに至ってはわずか64トンという結果となった。図1は、本年の入札方式による介入買入数量の推移を示したものであるが、バターの1入札当たりの介入買入数量はピーク時には1万5千トン弱であったものが入札回数を追うごとに漸減し、直近ではほぼ無視できる水準となったことが読み取れる。脱脂粉乳も前回の入札(8月27日)までは2万トン台を維持していたものが直近の入札で急減したことが注目される。
バターの介入買入数量の減少については、図2のバターの卸売価格の推移をみてもわかるとおり、生産されたバターを介入買い入れではなく市場で流通させる傾向が強まっていると解釈することができる。
一方、脱脂粉乳の介入買入数量については、入札の間隔が前回からわずか1週間であったということも影響している可能性があるが、関係者によれば、ニュージーランドのフォンテラ社の全粉乳の入札価格が最近一挙に25%上昇したことにも象徴されるように、国際市場の価格上昇が背景にあるようだ。図3の通り、8月までの脱脂粉乳の卸売価格では大きな変化がみられていないだけに、今後の脱脂粉乳市場の動向が注目される。
図1 入札方式による介入買入数量の推移
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図2 バター卸売価格の推移(オランダ)
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図3 脱脂粉乳卸売価格の推移(ドイツ)
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介入買入期間は予定通り2月末まで延長される見通し
当地報道によれば、期限が8月末とされていたバターおよび脱脂粉乳の介入買入期間の来年2月末までの延長は、9月2日に開催された欧州議会農業委員会で支持され、10月の農相理事会で正式採択される見通しとなった模様だ。既報(http:/lin/lin/go/jp/alic/week/2009/eu/eu20090715-1.htm)のとおり、現在は、正式採択までの空白期間を生じさせないよう、中継ぎとして、共通市場制度に関する理事会規則(EC1234/2007)の緊急条項に基づき、従前と同様の介入買い入れの入札が実施されている。
このままバター、脱脂粉乳とも市況が好転すれば、せっかく延長した介入買入期間が空振りとなってしまうことも想定されるが、次期の介入買入期間(2010年3月1日〜8月31日)と合わせ、少なくとも2010年の8月末まで切れ目なくバターおよび脱脂粉乳の介入買入期間が措置されるという安心感は今後の域内市場にも好影響を与えるものと期待される。
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