当機構調べの肉用子牛取引価格を見ると、黒毛和種の子牛取引価格は、平成16年度以降、枝肉卸売価格の高値が続いたことを背景におおむね上昇傾向で推移していたが、19年度以降、枝肉卸売価格が前年同月を下回る水準に落ち込むとともに、子牛取引価格も下落傾向で推移している。
21年6月の取引価格では、黒毛和種が雌雄平均1頭当たり34万6千円(前年同月比12.4%安)と前月より9千円値下がり、14年7月以来となる35万円割れとなったほか、ホルスタイン種が同8万8千円(同10.3%安)と前月より4千円値下がりした。牛肉需要の減退などによる枝肉価格の値下がりを反映して肉用子牛価格は下落傾向が続いている。
一方で、褐毛和種は29万2千円(同17.7%高)と前月より3万7千円値上がりし、3カ月連続で前年同月を上回り、好調を維持している。
なお、21年4月に19年12月以来の20万円まで回復した交雑種については、6月は同19万円(同24.3%高)と前年同月を大幅に上回ったものの、前月より8千円の値下がりとなった(図1)。
また、6月の去勢和牛枝肉卸売価格(東京市場)は、A−5等級がキログラム当たり2,187円(前年同月比6.7%安)、A−3等級が同1,453円(同6.7%安)となっており、7月においても速報値でA−5等級が同2,222円(同5.1%安)、A−3等級が同1,450円(同7.9%安)と20年2月以降前年割れが続くこととなった。
中元ギフト需要や夏場需要の手当買いなどで本来活気が出てくる時期であるにもかかわらず、価格が下落していることは、消費者の低価格志向が依然として継続し、上位等級に対する末端の需要に影を落としていることを反映したものといえる。 このような枝肉相場の長引く低迷は、肥育農家の導入意欲を一層低下させることから、今後の子牛価格への影響が懸念される。
図1 肉用子牛取引価格の推移
|
|
|