平成20年は生産量が前年を下回ったことなどから、卸売価格は堅調に推移した。しかし、21年2月以降は、消費低迷による需要の減少から、相場は軟調に推移しており、6月の卸売価格(東京・M)はキログラム当たり160円(前年同月比13.5%安)、7月はさらに値を下げ、同154円(同20.2%安)と続落し、下落幅が拡大している(図5)。
こうした状況を反映し、価格低下による鶏卵生産者の損失を補てんするための価格差補てん事業が実施されているが、21年1月以降、7カ月連続で発動し、補てん金が交付されている。
一方、農林水産省「鶏ひなふ化羽数」によると、20年12月以降、2月と5月を除いて、総じて前年度を上回るえ付けがなされている。産卵を開始するのは5カ月齢で、7カ月齢頃に産卵のピークを迎えることから、5月以降の産卵数がさらに増加しているのではないかとも言われている。
農林水産省が公表した21年度鶏卵生産指針(素案)によると、景気が上向かない限り、家計消費量の減少は続き、業務・加工用途での鶏卵需要も伸び悩むと想定されている。 このようなことから、需要に見合った、生産者農家による自主的な生産調整の取り組みが、今後ますます重要になってくると思われる。
図5 鶏卵卸売価格と小売価格の推移
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