2009年における生乳価格低迷が生乳供給量に大きく影響か
ZMB(ドイツ乳製品市場価格情報センター)によると、2009年におけるEU27の生乳供給量は134.1百万トンと前年比で0.2%減少した注。加盟国別では、ベルギー、ドイツ、デンマーク、オランダなどEU15の中でも北部に位置する国々を中心に生乳供給量の増加が観察された一方、2004年5月に新たに加盟した10カ国では全体で0.8%減少とポーランドを除き軒並み減少となった。また、2007年1月に加盟したルーマニアとブルガリアでは、減少率はそれぞれ▲12.2%、▲16.4%と域内で最大の減少幅を記録した(図10)。
図10 2009年における生乳供給量の変化率
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2009年の生乳供給量減少についてZMBは、一部には天候が影響していると考えられるものの、2009年当初から観察されている域内の生乳価格低迷が大きく影響したものと分析している(図11)。
注: 2008年はうるう年(366日)であったため、365日相当に換算した上で2009年と比較した。
図11 域内生乳価格の動向
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月別生乳供給量は2009年9月以降前年同月比割れが顕著に
図12はEU27における月別生乳供給量の推移を示したものであるが、2009年9月以降、前年同月比割れが顕著となっていることが読み取れる。域内の生乳供給量は例年、5月にピークを迎え11月に底を打つという季節変動が観察されており、2010年当初は生乳供給量増加による需給の緩みが懸念されていた。しかしながら実際には、2009年11月以降も生乳供給量の増加は緩やかで前年同月を下回る状況が継続しており、2010年1月についても前年同月比1.1%減となっている。生乳供給量が前年の値を下回って推移している要因についてZMBは、域内の搾乳牛頭数が前年よりもやや減少していることに加え、この冬欧州北部を襲った記録的な寒波による生乳生産と集乳への影響を挙げている。いずれにしても、生乳供給量は域内乳製品市場に直接影響するだけに、今後の動向が注目される。
図12 EU27における月別生乳供給量の推移
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