農林水産省「牛乳乳製品統計」によると、平成22年1月のバターの1月の生産量は、前年をやや上回る8,215トン(前年同月比4.4%増)、推定期末在庫量は前年同月を大幅に上回る3万2千トン(同28.2%増)となった。この結果、推定出回り量は5千トン(同6.3%増)とかなりの程度上回った。バターの大口需要者価格は低下傾向で推移しており、1月は同7.1%安の1キログラム当たり1,081円となった。
また、脱脂粉乳の生産量は、前年をかなりの程度上回る16,571トン(同6.1%増)、推定期末在庫量は前年同月を大幅に上回る6万5千トン(同79.2%増)となった。この結果、推定出回り量は、前年同月をわずかに下回る9万8千トン(同1.3%減)となった。生産量や在庫量の増加などを受けて、大口需要者価格は低下傾向で推移しており、1月は25キログラム当たり14,981円(同0.1%安)となっている。
このように、長期保存の可能な乳製品の生産量の増加による推定期末在庫量の増加は、景気の低迷が続く中、牛乳などの飲用向けの需要が大きく減少していることが大きな一因と考えられる。
こうした状況にあって、中央酪農会議は、日本酪農乳業協会(Jミルク)が1月に公表した生乳需給見通しで22年度は約30万トンの供給過剰とされたことを受けて、22年度の生乳計画生産目標について検討した結果、生乳需給調整を単年度に集中して実施すると酪農生産へのダメージが大き過ぎるとの配慮から、今後3年程度の中期的な需給動向を見据えた弾力的な計画生産にすることとした。具体的には、北海道は前年度受託販売実績見込比(以下同じ。)で前年並みの382万9千トン、都府県は2.7%減の366万9千トン、全国では1.3%減の749万7千トンとすることを基本に目標数量を配分する3年ぶりの生産抑制に取り組むことを決定した(図4)。なお、これを後押しする意味でも、22年度の機構事業として国産チーズ及び液状乳製品の需要創出を緊急的に支援する対策を実施することが決定された。
図4 地域別の生乳生産量の推移
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