需給動向 海外 |
好調な米国の牛肉輸出、前年を大幅に上回る |
4月は前年同月比30.0%増米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が6月10日に公表した「Livestock and Meat Trade Data」によると、4月の牛肉輸出量(枝肉重量ベース)は世界経済の回復により、前年同月比30.0%増の8万トンと前年を大幅に上回った。これは米国におけるBSE発生前の2003年4月の8万9千トンの89.9%に相当する。また、同省海外農業局(USDA/FAS)の公表した輸出額を見ると、4月は前年を37.9%上回る2億5630万ドル(約228億円:1ドル=89円)と、米国におけるBSE発生前の2003年4月を13.2%上回っている。
なお、2010年1〜4月の輸出量は前年同期比26.1%増の29万7千トンとなり、6月18日にUSDA/ERSが公表した需給予測では、2010年は前年を10.1%上回る93万トンと予測している。 アジア市場向け、前年に続き増加基調こうした輸出増は、好調なアジアや中東向け輸出に後押しされている。USDAによると、アジア市場向けの輸出の前年比成長率は堅調に推移しており、4月の仕向け先上位10カ国のうち半数はアジア諸国が占めた。 国別に見ると、メキシコとカナダに次ぐ3位の日本向けは、前年同月比29.5%増の1万1千トンとBSE発生前の水準に向けて安定的な成長基調を保っており、4位の韓国向けは同296.4%増の9千トンと日本より早いペースでBSE発生前の水準に向けて伸びている。8位の香港向けは、2009年5月以降前年を大幅に上回って推移し、前年同月比69.2%増の2千トンとなった。また、中東などの新興国向けの拡大も目覚ましく、10位のエジプト向けは前年同月比111.8%増、アラブ首長国連邦向けは同6.2%増、サウジアラビア向けについては同290.3%増と、今年に入ってから前年を2ケタ以上上回って推移している。 他方、ロシア向けは前年の約30倍となる4千トンとなったが、1〜4月の累計では同国の米国牛肉に対する2010年(暦年ベース)の関税割当(製品重量21,700トン)の3割強(同7,621トン)を既に消化しているため、輸出量への今後の影響が懸念されるところである。
韓国とのFTA締結に向けた動きに注目オバマ米大統領は6月末、11月にソウルで行われるG20出席のための訪韓までに韓国との自由貿易協定(FTA)に係る課題を解決し、11月の米中間選挙後に議会に同意を求める考えを発表した。 豪州も韓国とのFTA交渉を進めていることから、全国肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)は今回の発表について、FTAの締結により牛肉の関税は現行の40%から15年間で0%にまで削減されるが、豪州が米国より1年早く締結すれば、米国産牛肉はその後15年間にわたって豪州産牛肉に対して2.67%の関税差を背負うことになる、このようなことを踏まえれば、オバマ政権が韓国とのFTA締結に対して議会に推進を促したことは高く評価するとコメントを出している。 なお、米韓FTAについては、米国の産業に悪影響を与えるなどの反対意見も多く認められるため、今後議論が紛糾する可能性が高く、その行方が注目されるところである。
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