海外トピックス


酪農乳業に関するハイレベルグループ報告書が公表(EU)


7項目からなる勧告を提言

 酪農乳業に関するハイレベルグループ(以下「HLG」という。)は、2009年に顕在化した酪農危機を受け、2015年4月1日の生乳クオータ撤廃を見据え、酪農乳業の中長期的課題を議論するため、フィッシャー・ボエル委員(当時)の決断で設置された機関であるが、10回に及ぶ会合を経て報告書が取りまとめられ、2010年6月15日付で公表された。この報告書では、7項目からなる勧告が提言されており、その概要は次の通りとなっている。

HLG報告書における勧告の概要
資料:農畜産業振興機構ブリュッセル事務所作成
注1:現 行の法令の下では、生産者集団に対する「共通の生乳価格( uniform price)」は、市場占有率が高くないことなどの厳しい制約が課されている。
  2:バターおよび脱脂粉乳に係る介入買入措置。

生産者団体は早期具体化を要求

 HLG報告書の公表を受け、生産者団体である欧州農業組織委員会・欧州農業協同組合委員会(COPA-COGECA)は、6月15日付で声明を発表し、EUの農村地域における酪農家が未来と雇用確保を実現するため、欧州委員会側にHLG報告書で示された勧告を具体的な提案として迅速に取りまとめるよう促した。今後は、これらの勧告がどのように具体化されるかが焦点となるとみられる。

乳業団体側は冷淡な対応

 一方乳業団体側では、HLG報告書の内容は何ら驚く内容はないとの冷淡な見解が広がっている。中でも、既存の措置ではない新たな事項(生産者団体、契約、生産地の表示、競争ルールの緩和)については、域内市場の機能改善にはつながるとは思えないとの否定的な見解となっており、生産者団体との立場の違いをうかがわせるものとなっている。

(参考:欧州委員会プレスリリース)
http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/10/742&format=HTML&aged=O&language=EN&guiLanguage=en


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