2010年第1四半期の農業生産額の成長率は2.7%フィリピン農務省農業統計局(BAS)は、2010年第1四半期(1〜3月分)の農業生産状況を公表した。農業部門全体における生産額(現行価格)は、前年同期比2.7%増の3,159億ペソ(約6,634億円:1ペソ=2.1円)となった。 作物部門は伸び悩む一方、家畜および家きん部門の生産額が増加部門別でみると、農業部門生産額の半分を占める作物部門は同0.4%減の1705億ペソ(3581億円)、約2割を占める水産部門が同1.2%減の531億ペソ(1115億円)であり、前年とほぼ同じ額にとどまった。 この作物部門の伸び悩みは、コメの生産量の減少、トウモロコシの生産量の減少と価格低下により生産額が減少した影響を受けたことが原因である。 コメの生産額は同9.5%減の540億ペソ(1134億円)、生産量は同11.4%減の349万トンであった。トウモロコシの生産額は同28.5%減の186億ペソ(391億円)、生産量は同16.8%減の160万トンであった。 BASによれば、コメおよびトウモロコシの減産は、エルニーニョ現象による干ばつおよび高温の被害があったためとされている。トウモロコシの価格低下は、白色トウモロコシについては、加工業者からの需要が減少したこと、黄色トウモロコシは収穫物の品質が良くなく、輸入飼料への代替が行われたためであると説明されている。 畜産関係については、家畜部門(牛肉、水牛肉、豚肉、ヤギ肉、生乳)が同9.2%増の513億ペソ(1077億円)となり、家きん部門(鶏肉、アヒル肉、鶏卵、アヒル卵)も同14.8%増の411億ペソ(863億円)と増加した。 畜産関係の生産額の伸びは、価格の上昇などによるものであった。特に同国の主要畜産物である豚肉、鶏肉の生産額が増加したことが原因である。 豚肉の生産額は同9.5%増の427億ペソ、鶏肉の生産額は同19.1%増の311億ペソ(653億円)と好調であった。 2010年第1四半期の豚肉と鶏肉の生産および価格状況豚肉の生産については、昨年の同時期と比較して増加は見られなかった。これは、子豚の供給がひっ迫していたことなどから肥育頭数が少なかったためとみられる。 鶏肉の生産についても、わずかな増加にとどまった。これは、2009年10-12月期に上陸した台風によって、企業的なブロイラー経営が被害を受けたため、生産の回復に時間がかかったためである。 これらのことから、価格は堅調に推移した。生産者販売平均価格は、豚肉が同9.1%高のキログラム当たり93.67ペソ(約197円)となったほか、鶏肉が同16.9%高のキログラム当たり93.54ペソ(196円)となった。
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