需給動向 海外 |
肉牛供給の減少により価格上昇の一方、消費は減少の見通し |
牛肉小売価格は前年同月比7.0%高米国農務省(USDA)によると、9月の牛と畜頭数は前年同月比3.0%増の289万8千頭、2010年1〜9月の累計では、前年同期比2.0%増の2560万5千頭となった。中でも雌牛については、豪州からのひき肉などの加工用向け牛肉の輸入が減少し、生体価格が上昇しているため、9月のと畜頭数は前年同月比7.0%増となっている。これに対し、輸出量は、9月は前年同月比14.2%増の8万4千トン、1〜9月の累計では、前年同期比22.5%増の75万トンと前年を大幅に上回る一方、輸入量については、9月は同11.8%減の7万1千トン、1〜9月の累計は、同10.4%減の84万4千トンにとどまっている。 このような供給減少により、9月の肥育牛価格(去勢、チョイス級、1,100〜1300ポンド、ネブラスカ)は、前年同月比16.9%高の100ポンド当たり97.2ドル(キログラム当たり174円:1ドル=81円)と今年に入り前年を上回る状況が継続している。また、肥育牛価格の高騰を受け、牛肉卸売価格(チョイス級、600〜900ポンド、カットアウトバリュー)も2月以降前年を上回って推移し、9月は同13.9%高の同160.6ドル(同287円)となった。小売価格(チョイス級平均)については、9月は同7.1%高のポンド当たり4.425ドル(同790円)と過去3年の平均を上回る高水準となった。
1人当たり推定出回り量は引き続き減少の見込みUSDAによると、2010年第3四半期の1人当たり牛肉推定出回り量(枝肉重量ベース)は、前年同期比1.9%減の6.9キログラムと、14四半期連続で前年を下回った。これは、国内供給量の減少もさることながら米国内の高止まりする失業率や牛肉価格の上昇なども要因とみられ、2010年第1〜3四半期累計では、前年同期比3.4%減の20.4キログラムと、過去3年の平均を下回った。また、米国全体の牛肉推定出回り量についても、第2四半期は同2.5%減の303万2千トンと10四半期連続で前年を下回った。 1人当たりの推定出回り量は、国内供給量が減少基調にある中、2010年第4四半期以降も前年を下回ると見込まれ、所得弾力性の高い牛肉消費は小売価格の上昇と高失業率という逆風の中、今後も増加することは見込まれにくい。
E15の飼料穀物価格への影響を懸念米国環境保護庁(EPA)は10月13日、2007年以降に生産された自動車については、ガソリンへのエタノール燃料混合比率をこれまでの最大10%から15%(E15)に引き上げることを承認した。トウモロコシ価格は、USDA世界農業観測ボード(WAOB)が10月8日に公表した2010/2011年度トウモロコシ生産量および期末在庫量の予測を下方修正したことから価格は高騰しており、E15の実現性が具体化するときにはさらなるトウモロコシ価格の上昇も見込まれる。 米国食肉協会(AMI)など食肉団体を含む9団体は11月9日、EPAが2007年以降の自動車に限定してE15を認めたことは、大気浄化法違反であるとして連邦裁判所に訴訟を起こした。AMIは今回のEPAの承認について、E15によりトウモロコシ価格が上昇して食肉の生産が減少し、食肉の小売価格の上昇を導くので、結局は消費者の負担増につながると批判している。 |
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