需給動向 海外

◆飼 料◆

粗粒穀物:単年度での需給は4年ぶりに逆転


◇絵でみる需給動向◇


生産量は前年度を1.5%下回る

 米国農務省海外農業局(USDA/FAS)によると、2010/11年度における世界全体の粗粒穀物生産量は、主要生産国、地域の一部(豪州、カナダ、EU27カ国および米国)で減産したことで、前年度を1.5%下回る10億8,877万トンが見込まれている。このため、需給状況は様変わりし、単年度ベースの需給は、4年ぶりに消費量が生産量を上回る状況であり、需給ギャップは広がりつつあるとしている(図12)。

図12 世界全体の粗粒穀物の生産量と消費量
資料:USDA/FAS(2010年10月)

米国のトウモロコシ、EUの大麦の減少が響く

 USDAによると、生産量が減少した大きな要因として、米国ではトウモロコシの作付面積は前年度を上回るものの、2005/06年度以降増加を続けた単収が2010/11年度は前年度を下回ること、EUでも、粗粒穀物生産量の約4割を占める大麦の単収が、気候変動により低下したことなどが挙げられており、2010/11年度におけるEU27カ国の大麦の生産量は10年ぶりの低水準となり、前年度を13%下回る5,356万トンが見込まれている。

今後の国際需給に影響を与える南半球の生産動向

 米国、EUの粗粒穀物在庫は、それぞれ前年度を56%、45%下回ると見込まれ、その中でも米国のトウモロコシ在庫は、14年ぶりの低水準とされ前年度を47%下回る2,290万トン、在庫率(消費量に対する在庫の割合)も低下し、国連食糧農業機関(FAO)が定める安全在庫水準(15%)を下回る7.9%が見込まれている。また、EU27カ国の大麦在庫も低下し、前年度を71%下回る440万トン、在庫率も低下し7.4%が見込まれている。

 その一方で、中国はその在庫を増やしており、世界全体でみると在庫率は14.5%と高くなっているが、USDAによると、中国などのように各国での農業政策、国内事情から、その在庫がすべて国際市場に出回ることにはならないため、今後の国際需給の情勢については、南半球での生産動向を注視する必要があるとしている(図13)。

図13 米国のトウモロコシ在庫とEU27カ国の大麦在庫
資料:USDA/FAS(2010年10月)

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