需給動向 海外

◆豪 州◆

2010/11年度の生乳生産は低調なスタート


◇絵でみる需給動向◇


2010年度第1四半期の生乳生産量は、前年同期並みで推移

 デイリー・オーストラリア(DA)によると、2009/10年度(7〜6月)における豪州の生乳生産量は、前年度比3.9%減の902万2千キロリットルと1996/97年度以降、最低の水準となった。また、2010/11年度についても、2010年度第1四半期(7〜9月)が、低温と多雨による影響で、前年同期並みの225万2千キロリットルとなった。州別にみると、最大の生産州であるビクトリア(VIC)州が前年同期並みの147万9千キロリットル、2番目に多いニューサウスェールズ(NSW)州が同2.9%減の27万5千キロリットルなどとなった。2010/11年度(通年ベース)についても、主産地における多雨、春先のバッタの発生、不安定な飼料穀物価格などから、前年度比1〜2%増の910万〜920万キロリットルにとどまると見込まれる。

図10 州別生乳生産量(7〜9月期)

乳製品の中でもバターオイルの製造量が大きく減少

 2010年7〜8月における乳製品の生産量については、バターが前年同期比2.6%増の9,985トン、バターオイルが36.5%減の2,381トン、脱脂粉乳が0.2%減の31,129トン、チーズが4.8%減の40,234トン、全脂粉乳が44.5%増の26,366トン、ホエイパウダーが21.3%減の7,266トンとなった。このうち、減少幅の大きいバターオイルについて、オセアニア産乳製品取引の価格指標の一つとなっているニュージーランドの酪農協フォンテラによる電子オークション取引「グローバルデイリートレード」をみると、9月および10月の平均価格(FASベース)が5千米ドル台の高値で推移している。

図11 生乳生産量の月別推移

マレー・ダーリング川流域庁が水資源計画案を発表

 こうした中、マレー・ダーリング川流域庁(MDBA)は10月8日、環境保全に取り組む目的から、同流域のかんがい用水を大幅に削減する水資源計画案を発表した。豪州南東部に広がる同流域は、総面積約100万平方メートル、農業生産額が年間約150億豪ドル(1兆2150億円:1豪ドル=81円)と国内の約4割を占める国内有数の農業地帯であり、主要な酪農地帯となっている。酪農生産者をはじめ、かんがい用水に依存した生産活動を営む農業生産者は、同計画に強く反発している。こうした中、MDBAが同計画の策定を延期するとの可能性も報じられている。


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