為替相場の変動により輸出市場でのEU産脱脂粉乳の競争力が低下
畜産の情報2010年11月号において9月の脱脂粉乳卸売価格が前月比で上昇に転じた旨報告したところであるが、10月の同価格は100キログラム当たり221.9ユーロ(約25,297円:1ユーロ=114円)と再び前月比で3%減少した。北半球の生乳生産量は秋に最も少ない状態となるため供給量が制限されることとなるが、9月以降、ユーロの米ドル、ニュージーランドドルに対する為替相場が高水準で推移したことにより、EU産の脱脂粉乳が北米産、オセアニア産との価格競争面で不利となったことが域内の卸売価格に影響したとみられる。(図8)
図8 脱脂粉乳の卸売価格の推移 |
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資料:ZMB
注:ドイツの脱脂粉乳(食品グレード)を指標とした。 |
バターの卸売価格は介入買入在庫が実質的に解消されたこともあり横ばいで推移
一方、バターの卸売価格は既報(畜産の情報11月号)で報告したとおり、2011年における生活困窮者への食料支援制度において介入買入在庫全量の処分が計上されたことから、脱脂粉乳よりも需給が引き締まった状態となっており、10月の卸売価格も100キログラム当たり377ユーロ(約42,978円)と前月の値のまま横ばいで推移している。為替相場によるEU産乳製品の競争力低下はバターにおいても脱脂粉乳と同様であるが、これからクリスマスというバターの需要期を迎えることから少なくとも年内については、バターの相場は堅調に推移するとみられる。(図9)
図9 バターの卸売価格の推移
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資料:ZMB
注:オランダのブランドバターを指標とした。
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なお、最近意見交換をした域内のあるサプライヤーによれば、2009年末からバターの価格が高騰しているものの、ロシア、中国、中東などの新興市場からの乳脂肪類の引き合いは依然として強いとのことであり、このような事情も好調なバター相場の追い風となっていると見られる。
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