2011年上期までの毎四半期の豚枝肉卸売価格はほぼ前年並みと予測
2010年10月8日に豚肉助言グループ予測委員会が開催され、欧州委員会としての2011年上期までの豚枝肉卸売価格の予測値が示された。これによれば、2010年第4四半期は前年同期の値を上回って推移すると見込まれるものの、続く2011年第1四半期、第2四半期とも前年同期とほぼ同水準で推移するとされている。2010年第4四半期が前年同期の値を上回ると考えられているのは、単に2009年第4四半期の値が通常観察される季節的な変動以上に大きく下落したためであり、2010年第4四半期に特段の要因があるという整理にはなっていない。(図4)
図4 EUにおける豚枝肉卸売価格の推移
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資料:欧州委員会
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デンマーク産枝肉は4四半期連続で前年同期比がプラスで推移との予測
一方、同時に公表された加盟国別枝肉価格の予測値では、我が国と関係の深いデンマーク産は2010年第4四半期から4四半期連続で前年同期比がプラスで推移すると見込まれている。ただし、その幅は2010年第4四半期の+8.8%から2011年第3四半期の+0.3%まで漸減するとされており、前述のとおり、2011年に特段の要因があるというよりも、比較対照の2009年第4四半期の相場が低かったと評価するほうが妥当と言えよう。(表2)
表2 主要生産国における豚枝肉価格の実績および見通し |
(単位:ユーロ/100キログラム) |
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資料:欧州委員会
注1:○数字は各四半期を示す。
2:実績値は公表されている月別の値の単純平均を用いた。
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飼料用穀物価格の高騰への懸念にも言及
また、同予測委員会の報告書においては、飼料用穀物価格の高騰により養豚経営の所得が減少するとの懸念も言及されている。同報告書によれば、豚肉相場が低下傾向にある状況下においては飼料価格の影響は不可避であり、今後、所得減少により養豚経営の一部が経営離脱する結果になるとの見解が示されている。一部報道によれば、10月26日に開催された農相理事会において各国代表より、豚肉に係る民間在庫補助の発動、穀物に係る介入買入在庫の放出、輸出補助金の発動といった措置の検討が求められたとされているが、欧州理事会が公表したプレスリリースにおいては、養豚部門について12月3日に「2020年に向けた養豚部門」と題する緊急会合が議長国であるベルギーの発案で開催されることとなった旨が触れられているのみとなっている。いずれにしても、この12月3日の会合で養豚をめぐる情勢に何らかの変化がある可能性があることから、今後とも注視してまいりたい。
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