海外トピックス


豪州のアイスクリーム事情〜消費者ニーズに対応し、多様な商品を製造〜


1人当たり年間18リットルを消費

 豪州は、米国、ニュージーランド(NZ)同様にアイスクリームの消費量が多く、1人当たり年間18リットル(2008年)を消費している。また、アイスクリーム輸出国である一方、輸入国でもある。輸出額についてみると、豪ドル高や弱い国際需要により、2004年の4940万豪ドル(40億円:1豪ドル=81円)から2009年には、4190万豪ドル(34億円)に減少した。このうち3割は日本向けとなっている。一方、輸入額についてみると、国内需要および供給の変動などから年平均1.8%程度の増加が続き、2009年には、3660万豪ドル(30億円)となった。

野外のアイスクリーム販売(販売量に季節性はあるものの、年間を通して営業している)
図1 豪州の国別アイスクリーム輸出額(2008年)
資料:Australian Dairy Foods
図2 豪州の国別アイスクリーム輸入額(2008年)
資料:Australian Dairy Foods

大手3社が6割を占めるが小規模生産者も存在

 2009年のアイスクリーム業界収益は4億3810万豪ドル(355億円)であった。アイスクリーム業界における総収益の64.9%は、Nestle Australia社、Unilever Australia社およびRegal Cream Products 社(Bulla Dairy Foods社)の3社が占めている。これら大手メーカーは、莫大な宣伝広告費と高いブランド力をもとに、消費者の信頼を獲得している。一方、小規模生産者も存在し、少量かつ短期間商品として高級ジェラートやアイスクリームなどを製造し、グルメ層をターゲットとしたニッチ市場が確立されている。

図3 豪州アイスクリーム(シェア)
資料:Australian Dairy Foods

今後の見通し

 現在、消費者の嗜好は、砂糖や脂肪を多く含むアイスクリームから、ヨーグルトやフルーツなどに移りつつある。このため、フローズンヨーグルト市場が拡大し、ヨーグルトとアイスクリームを混合した商品も登場している。業界も、果実そのものや低脂肪牛乳、人工甘味料およびオーガニック/グルテンフリー/大豆たんぱく素材を原料に用い、またカルシウムを添加するなど、消費者の関心が高い健康や栄養面に配慮した商品の製造に取り組んでいる。

 ここ5年ほど業界は、生乳および砂糖などの原料高を経験し、国内販売量、輸出量ともに減少傾向にあるものの、国内市場での平均小売価格の上昇により、売上高減少の一部は補われている状況にある。しかし、業界では、今後5年で業界収益は年平均1.6%増加し、2015年には、4億8590万豪ドル(394億円)に達するとみている。また、輸出額は年平均3.7%増加し、2014/15年度には、5030万豪ドル(41億円)、輸入額は、年平均8%増加し、2014/15年度には、5620万豪ドル(46億円)まで拡大すると予測している。なお、アイスクリーム製造業直接雇用者数は5年間で2.1%程度増加し、2014/15年度には、およそ1,236人となるとみている。

*雑誌「Australian Dairy Foods」から引用。

大手量販店のアイスクリーム売り場。
高級アイスクリーム売り場。
(自社製の陳列棚、目を引く包装で高級感を演出)

日本の1人当たり年間アイスクリーム消費量は豪州の約3分の1

 一方、社団法人日本アイスクリーム協会によると、2009年における日本の1人当たり年間アイスクリーム消費量は6リットルと、豪州の3分の1となっている。また、年間販売量および金額は792,570キロリットル、3,832億円となっている。(1世帯当たりは、年間7,553円。)アイスクリーム(シャーベットを含む)の輸入は減少傾向にあり、2009年度は、7,880トン、27億円であった。国別輸入割合(数量ベース)をみると、46%がNZ、20%が豪州と6割以上をオセアニア地域が占めている。

図4 アイスクリーム輸入の推移
資料:日本アイスクリーム協会
  注:シャーベット類を含む
図5 日本のアイスクリーム輸入量(2009年度)
資料:日本アイスクリーム協会
  注:シャーベット類を含む

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