2009年第3四半期の牛肉生産量は増加するも輸出量は減少
豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)が11月下旬に発表した報告書によると、2009年第3四半期(7〜9月)における牛肉輸出量(子牛肉を含む。枝肉重量ベース)は、前年同期比4%減の34万9454トンとなった。一方、同期における牛肉生産量は同3%増の56万2865トンとやや増加している。輸出量の減少要因については、主要通貨に対する豪ドル為替相場が、前年同期に比べ高値で推移したこと、世界的な景気低迷が、輸出市場において多くの牛肉アイテムの需要減少を招いたことを挙げている。
北米、韓国、インドネシア向けが増加、中でもインドネシア向けは前年同期比60%増
2009年第3四半期の牛肉輸出量(船積重量ベース)を国別に見ると、日本向けが前年同期比5%減、ロシア向けが同79%減となったが、北米向けが同14%増、韓国向けが同21%増、インドネシア向けが同60%増となった。輸出先のうちインドネシア向けが大幅に増加した要因について、堅調な経済成長に伴い牛肉需要が増加していること、同国内で肉牛供給量が不足していると伝えられることがある。豪州の牛肉の輸出先は、日本、米国、韓国の3市場が大部分を占めるが、インドネシアはこれらに次ぐ4番手の市場である。2009年1〜10月におけるインドネシア向けの牛肉輸出量は、前年同期比47%増の4万478トンと大幅に増加し、このうち、冷凍牛肉は、同44%増の36,582トンとなった。冷凍牛肉は主にミートボールやソーセージ用など加工向けとなるが、ニュージーランド産などと比べ豪州産の価格優位性が高まったことが輸出増につながったとみられる。また、冷蔵牛肉も、国産品より価格が安価となったことなどから、同83%増の3,896トンと大幅に増加した。
アイテム別では、日本向け、ロシア向けの加工用牛肉がかなり減少
2009年第3四半期の牛肉輸出量(23万6626トン、船積重量ベース)をアイテム別に見ると、加工用が前年同期比10%減の83,537トンとかなり減少した。これを、国別に見ると、日本向けが同24%減の25,163トン、ロシア向けが同99%減の88トンとそれぞれ大幅な減少となっている。日本向けの減少要因については、日本の国内豚肉在庫が増加したことから、小売業および外食産業において、ミートボール、ソーセージ、カレーなどの材料を牛肉から豚肉に切り替える動きが見られたことを挙げている。また、ロシア向けについては、昨年の急激な輸出増から一転し、不安定な経済環境により多くの業者が輸入を手控えたこと、同国の消費者がより安価なたんぱく源となるほかの食肉にシフトしていること、より安価な南米産牛肉との競合が高まったことなどを挙げている。一方、北米向けは同30%増の38,674トンと大幅に増加したため、日本向けとロシア向けの大幅な減少の一部を相殺した。
ほかのアイテムのうち、減少率が大きいのはフルセットで、同14%減の8,517トンとなった。この背景には、フルセットの主要輸出先である日本においてパーツ需要が高まったことがある。パーツ別では、チャックロール、シルバーサイド、ブレード、トップサイドなどがそれぞれ前年同期に比べ増加している。
アイテム別で最も増加率が大きかったのはチャックロールで、同25%増の12,954トンとなった。これは、同アイテムの主要輸出先である日本向け、韓国向けがそれぞれ大幅に増加したことによるものである。また、ブレード、ブリスケットもそれぞれ同14%増の15,223トン、同10%増の20,241トンとかなり増加した。
図4 2009年第3四半期におけるアイテム別牛肉輸出量の増減率
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