フィードロット導入頭数は前年同月比1.5%増
米国農務省(USDA)が11月17日に公表した「Livestock, Dairy, and Poultry Outlook」によると、牛肉生産量は2008年第4四半期以降、4四半期連続で前年を下回って推移し、2009年10月は前年同月を2.8%下回る103万2千トンとなった。これは、生産コストの上昇、販売価格の低下などにより、牛肉の生産の減少傾向が続いていることによる。一方、11月20日に公表されたUSDAの「Cattle
on Feed」によると、10月のフィードロット(収納能力1000頭以上規模)への導入頭数は、前年同月比1.5%増の247万4千頭と、4カ月連続で前年同月を上回ることとなった。増加の要因としては、今年5、6月の導入頭数の落ち込みの反動などがあると考えられている。
このような導入頭数の増加傾向から、来年前半の需給については緩和する可能性があることが指摘されている。
図1 フィードロット導入頭数の前年同月比
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800ポンド超の導入頭数が前年同月比9.5%増
「Cattle on Feed」によると、2009年10月は体重の重い素牛の導入頭数が大幅に増加し、一頭当たり700〜799ポンド(317.8〜362.7kg:1ポンド=0.454kg)が前年同月比6.6%増の57万9千頭、同800ポンド超(363.2kg)は9.5%増の63万5千頭となった。これに対し、600ポンド以下(272.4kg)は前年同月を12.1%下回る61万5千頭となった。要因としては、牧草の生育状態が良好だったため通常より長く放牧していたことや、価格の回復を見込んでフィードロットへの導入を先送りしたものを、今回導入したことなどが考えられる。
体重の重い素牛は、肥育期間が短くなることから、来年前半、特に春先において需給の緩和が心配される。
図2 体重別導入頭数の前年同月比
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急減する枝肉重量
5、6月のフィードロットへの導入頭数が大幅に少なかったため、出荷時期となる9月後半から11月にかけての肉用牛と畜頭数が、同様に減少する可能性があると考えられる。USDAの週間と畜頭数によると10月の下旬以降、と畜頭数は前年同期を上回って推移している。
一方、枝肉重量は急激に軽量化しているが、これは、肥育牛価格は例年1、2月に最も弱含む傾向があることから、価格下落の前に出荷を早めようとする動きに出ていることが推測される。このような早期出荷の動きが今後も継続されれば、来年前半における需給の緩和が改善される可能性も出てくる。今後の動きに注目したい。
図3 去勢雄牛の枝肉重量の推移
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