米国農務省海外農業局(USDA/FAS:Grain:World
Markets and Trade)によると、この5年間でトウモロコシの輸出国は、大きく様変わりしていることが指摘されている。米国が主要な輸出国であることは揺るがないとしているが、世界全体の需要量の拡大に伴い、新たな輸出国が台頭しつつあるとしている。
政府の需給コントロールにより減少するアルゼンチンと中国の輸出量
特に、中国とアルゼンチンの輸出量は、政府が実施する政策的な需給コントロールにより著しく減少している。中国では、国内の飼料需要が急激に拡大していることから、輸出支援政策が撤廃されるとともに、国内価格が高水準で維持されていることにより、トウモロコシの輸出量は減少している。また、アルゼンチンでは、断続的に発生する干ばつ、さらに利益が見込まれる大豆などへの転作により、トウモロコシ生産量の減少が見込まれている。同国政府は、こうした状況下で歴史的に繰り返してきたように、輸出規制と輸出税の賦課といった措置を講じているため、輸出量を減少させているとしている。
図14 アルゼンチンと中国のトウモロコシ輸出量とシェア
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地理的な優位性から台頭する新たな輸出国
従来の輸出国とは対照的に、ブラジルを筆頭に、ウクライナ、南アフリカ、EU諸国(27カ国)、セルビアなどの新たな国・地域からのトウモロコシ輸出量は増加している。 ブラジルでは、トウモロコシの生産量は価格動向に左右されるものの、政府が行う生産・輸出振興策に後押しされ、需要量を上回る生産量が確保されているとしている。また、ウクライナ、南アフリカ、EU諸国(27カ国)、セルビアで生産されたトウモロコシは、近隣諸国に輸出されており、その増加の背景として、地理的に遠い米国と比べ、輸送コストにおける優位性が指摘されている。
表4 トウモロコシの輸出量
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