需給動向 国内

◆豚 肉◆

21年度上期の輸入量は国内相場低迷により前年度を下回る


◇絵でみる需給動向◇


 財務省「貿易統計」によると、21年10月における豚肉の輸入量は、チルドが1万7千8百トン(前年同期比36.5%減)、フローズンは3万7千5百トン(同21.8%減)となり、合計では5万5千4百トン(同27.2%減)と9カ月連続で前年度を下回った。

 輸入量を国別に見てみると、主にテーブルミートや外食などで多く利用されてきているチルドは、近年では北米を中心に輸入量を年々増やしてきたが、米国の場合、21年5月から前年度を下回って推移しており、10月は1万3千トンと前年度比34.5%減と大幅に減少している。カナダについても同様で、2月から前年を下回って推移し、10月は4千トンと前年度比39.9%減と大幅に減少している(図2)。

 ベーコンなど加工用として利用されるフローズンについては、ヨーロッパなど主にデンマークからの輸入が中心で、20年11月以降(21年6月を除き)、輸入量は前年度を下回って推移している。10月の輸入量は7千トンと前年度を52.1%減と大幅な減少となっている(図3)。

 輸入量減少の要因としては、国内における生産量の増加から国内相場が低迷していることによる国産品へのシフトと、輸入品の在庫積み増しから輸入を手控えていることなどが考えられる。

 調整保管実施により、枝肉卸売価格は、安定基準価格の400円の水準を維持しており、農林水産省の出荷予測によれば、生産量は今後も増加が見込まれるとしていることから、豚肉価格安定緊急対策事業(調整保管)による需給調整や肉豚安定出荷緊急促進事業による母豚更新時期の調整などが着実に成果を挙げ、卸売価格が回復することに期待したい。

図2 国別豚肉チルド輸入量
図3 国別豚肉フローズン輸入量

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