年次総会で資本構成の見直し案のうち最初の2案が承認 ニュージーランド(NZ)最大の酪農協フォンテラは、11月18日に行われた年次総会における投票の結果、フォンテラ側が提案した3段階に分けた資本構成の見直し案のうち最初の2案が承認されたと発表した。現地報道によると、年次総会には、出資者である酪農家10,500人のうち約350人が出席した。 フォンテラが提案した資本構成の見直し案の概要 現行の仕組みにおいて、酪農家は、フォンテラに供給する1年分相当の乳固形分(乳固形分1キログラム当たり1株、フェア・バリュー・シェアと呼ばれる)に応じて株式を取得する義務がある。このため、フォンテラは、生乳生産量が変動するたび、毎年酪農家から株式の購入や買い戻しの要求に応じなければならず、これがバランスシートに大きな影響を与えていた。例えば、2007/08年度の干ばつにより生乳生産量が減少した際、酪農家からの株式の買い戻し要求に対し総額7億4200万NZドル(475億円:1NZドル=64円)を支払う必要に迫られた。また、製品の付加価値化を図るために、乳業工場に対する設備投資などに伴う資金調達も必要であるとしている。 こうしたことからフォンテラは、資本構成の見直し案を次のとおり、提案していた。(1)資本構成の安定化:フォンテラに生乳を出荷する酪農家に1年分相当の乳固形分の120%までの株式取得を認め(増加分の20%については生乳の出荷量とは連動しない)、シーズン中に保有された株式に対し配当が支払われる。これは、生乳生産量の減少時においても株式を保持するインセンティブを酪農家に与える一方、フォンテラにとっては資本の安定化を図ることができる。(2)株価の制限:現行のフェア・バリュー・シェアの評価方法を見直し、株式の所有が酪農家だけに制限されていることを反映したものとする。これにより株価は低く評価されることから、当面の間、株価を現行の水準に据え置く。(3)酪農家間の株取引:フォンテラを介して株式の購入や買い戻しを行う方式から、酪農家間で保有株を売買できるシステムに移行する。これにより、フォンテラは、株式の買い戻しの義務を負わないこととする。 最初の2案の承認を受け、3案について来年、投票が行われる予定 今回の年次総会では、上記の(1)と(2)について投票が行われ、それぞれの承認には75%以上の賛成が必要となっていたが、(1)については89.6%、(2)については89.7%の賛成を得た。この結果を受け、(3)については、来年に投票が行われ、承認が得られれば、2011年に実施される予定となっている。 株式上場計画は白紙撤回 フォンテラは2007年11月、保有するすべての資産および負債を新たに設立する別会社に移行し、新会社の株式をNZ証券取引所に上場する計画を提案した。これは、公開市場からの外部資本の導入により、国際市場での競争力確保に必要な資金を調達する狙いがあった。しかし、同提案は、出資者である酪農家の反発を招き、新会社設立については、2008年2月に投票にかけること自体が撤回され、その後検討されていた株式上場についても議論から除外されていた。 出資者である酪農家がいかに追加的な資金を投入するかが鍵 フォンテラは、今回の提案について、出資者である酪農家が、同酪農協を自ら完全に所有、管理することを望んでいる中で、株式上場によらない資金調達を模索したものであるとしている。設備投資などに必要とする資金を調達するには、出資者である酪農家がいかに追加的な資金を投入するかにかかっているとしながらも、今回の投票結果について、フォンテラの会長は、同酪農協の発展にとって大きな前進であるとしている。 |
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