新年のごあいさつ |
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独立行政法人 農畜産業振興機構 理事長 木下 寛之 |
明けましておめでとうございます。 当機構は、農畜産業およびその関連産業の健全な発展と国民消費生活の安定に寄与するため、農畜産物の需給・価格安定業務などを実施するとともに、国内外の農畜産物の生産、流通、消費、農業政策などに関する多様な情報を幅広く提供しております。 旧年中の皆様方のご協力に感謝申し上げますとともに、本年も引き続きよろしくお願い申し上げます。 さて、昨年は、一昨年に続き食料の国際価格の動向が大きな問題として取り上げられる年となりました。 2008年に史上最高値をつけました穀物、大豆などの国際価格は、その後、米国発の金融不安による商品市場からの資金流出、世界的な不況による穀物需要の減退などにより大幅に下落したものの、2009年には南米における雨不足による大豆の減産や中国の穀物輸入の増加などから再び上昇し、その後、米国産トウモロコシなどの豊作予測から再び下落するなど、主要生産国の作柄による変動を繰り返しております。 また、一時下落しておりました原油価格も再び上昇しており、原油や穀物などの国際価格高騰による農畜産物の生産コスト上昇が、生産者の収益性の悪化を招いております。 さらに、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)をはじめとする新興国の影響力の拡大が認識される中、世界貿易機関(WTO)のドーハ開発ラウンド(多角的貿易交渉)は未だモダリティーの合意に至らない中で、経済連携協定(EPA)/自由貿易協定(FTA)に関しては、2008年のインドネシア、ブルネイ、ASEAN、フィリピンに続き、2009年9月にベトナムとのEPAが発効し、豪州との交渉も続けられております。 一方、このような食料・農業をめぐる国際情勢の下で国内に目を向けてみますと、畜産関係については、配合飼料価格が依然として高水準であるため畜産物の収益性が低下している中で、景気の後退により消費者の低価格志向がさらに強まり、牛肉を中心とした食肉の消費が低迷し、牛枝肉価格や肉用子牛価格が低下する状況でありました。こうした厳しい状況を踏まえ、農林水産省は、昨年度期中に引き上げた畜産物行政価格について、すべて据え置くという措置を講じました。 機構といたしましては、農林水産省からの要請を受け、畜産業振興事業について、21年3月からの乳価引き上げに伴う牛乳の消費減の影響を緩和するための措置などを講じました。また、6月には、国際的な穀物価格の高止まりや景気後退による畜産物価格の低迷などを踏まえた緊急の経営安定措置として、リース方式による機械の導入を支援する事業を創設しました。さらに、豚肉の需給緩和に伴う価格の低迷に対応するため、10月13日から6年ぶりとなる調整保管を実施するなど、畜産をめぐる情勢に対応した機動的かつ柔軟な事業執行に努めました。 また、当機構は、乳製品の国家貿易機関として、内外の需給動向に即した輸入・売り渡しを通じ、的確な事業の実施に努めました。 さらに、情報収集提供業務については、海外駐在員事務所などを通じて牛乳・乳製品や食肉の需給、配合飼料価格などに影響を及ぼす主要国の畜産物、穀物、飼料の生産・流通状況などや、国内における耕畜連携の取り組みなどの先進事例について情報を収集・整理し、情報誌やホームページを通じて適時的確に提供してまいりました。 このような厳しい情勢の中にあって、当機構が業務を円滑に進めることができましたのは、ひとえに皆様方のご理解とご支援のたまものと感謝申し上げます。 本年は、消費者の食料支出に向けた消費行動は、安全性や品質にこだわりつつも、昨年以上に低価格志向が強まることが予想され、生産者にとっての生産環境も楽観を許さないものと考えられます。 食料・農業を取り巻く情勢が激変する中にあって、業務の一層の効率化、透明性のさらなる確保に努めつつ、農畜産業および関連産業の健全な発展と国民消費生活の安定に資するよう、国民の視点に立った業務運営を図るべく、役職員一丸となって取り組んでまいります。 本年が、皆様にとって希望のもてる明るい年でありますことをご祈念申し上げ、新年のごあいさつといたします。 |
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