需給動向 国内 |
農林水産省「食肉流通統計」によると、平成22年4月の牛枝肉卸売価格(東京市場)は、めす和牛はA−5が、キログラム当たり2,372円(同5.7%安)、A−4が同1,813(同7.5%安)、去勢和牛もA−5が同2,121円(同6.2%安)、A−4が同1,739円(同5.5%安)と依然としてかなりの程度下回った。また、中級品について見ると、交雑種はと畜頭数の減少などから前年を上回ったものの、去勢和牛B−3が同1,472円(同1.5%安)、B−2が1,200円(同2.6%安)と前年を下回った。 牛枝肉卸売価格は全般的に、例年であれば5月の大型連休前に上向きに転じる傾向があるが、今年は末端需要の盛り上がりが見られず、天候不順も相まって、低水準であった昨年の価格をさらに下回ることとなった。 このように、枝肉価格の低迷により肥育牛の経営環境が厳しさを増す中、当機構が公表した肉用牛肥育経営安定対策事業(マルキン)および肥育牛生産者収益性低下緊急対策事業(補完マルキン)に係る四半期推定所得等の算定結果(平成22年1〜3月期)によると、全畜種とも粗収益が物財費を下回る状況でマルキンの全畜種発動は7期連続となった。 また、国産牛の小売価格においても景気低迷による消費者の節約志向の強まりを反映し、下落傾向となっており、総務省「小売物価統計調査報告」によると、4月の国産牛肉(ロース)の単価は100グラム当たり818円(前年同月比9.1%安)、5月はさらに値を下げ797円(同8.3%安)と14年9月以来初めて800円を下回った。 なお、和牛、国産牛の価格が低下している中、量販店などにおいて値ごろ感を感じ、差別化商品として和牛や国産牛の販売強化に力を入れていくことが考えられる。消費者にとっては、高品質な国産牛肉を安く購入できる機会が増えるので、今後、夏場にかけての焼き肉需要の盛り上がりに期待したい。
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