需給動向 海外

◆米 国◆

牛と畜頭数は高水準で推移


◇絵でみる需給動向◇


フィードロット出荷頭数は半年ぶりに前年割れ

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が5月21日に公表した「Cattle on Feed」によると、4月のフィードロット(収容能力1,000頭以上規模)からの出荷頭数は、前年同月比0.9%減の185万4千頭と半年ぶりに前年を下回った。これは昨年末以降、牛肉需要が高まり出荷頭数が前年を上回って推移し、出荷可能牛が減少しているためとみられる。フィードロットでは、増加する出荷頭数を埋め合わせるため、素牛の導入を増やしていることから、4月の導入頭数は、前年同月比1.8%増の162万9千頭となった。

 5月1日現在のフィードロット飼養頭数は、前年比3.4%減の1045万3千頭、また肥育素牛も子牛生産頭数の減少により供給がタイトになると考えられる。

図1 フィードロット出荷頭数の推移
資料:USDA/NASS「Cattle on Feed」

4月のと畜頭数は前年を2.7%上回る

 NASSが5月21日に公表した「Livestock Slaughter」によると、4月のと畜頭数は前年同月比2.7%増の284万7千頭となり、昨年11月以降依然高い水準を維持している。と畜頭数の増加要因として、繁殖雌牛、収容能力1,000頭未満のフィードロットからの肥育牛および外国産と場直行牛の増加と考えられる。

 このうち繁殖雌牛は、前年を大きく上回る水準で推移しており、4月は前年同月比16.1%増の29万8千頭となった。同省農業市場流通局(USDA/AMS)が公表する週間と畜頭数によると、5月以降も前年同期比13.7〜19.7%増と高水準で推移している。繁殖農家は廃用雌牛価格が高水準であることから繁殖雌牛の出荷を増加させており、飼養頭数を拡大する兆候は今のところみられない。

図2 繁殖雌牛の週間と畜頭数の推移
資料:USDA/AMS

枝肉重量は3年ぶりの低水準

 一方、4月の1頭当たり枝肉重量は、前年同月比2.3%減の343キログラムとなり、飼料価格の高騰により落ち込んだ2007年のレベルまで減少した。肥育牛価格が高いためフィードロットからの早期出荷が行われていることが減少の要因とみられる。この結果、4月はと畜頭数は前年を2.7%上回ったものの、枝肉重量の減少により、牛肉生産量(枝肉重量ベース)は前年同月比0.3%増の97万1千トンにとどまった。

 USDAは2010年の牛肉生産量を前年比1.0%増の1165万3千トンと予測している。しかし、枝肉重量は、5月を底に秋に向けて上昇する傾向にあり、AMSの週間と畜情報によると5月の第1週を底に反転しているが、依然として前年同月を下回っている。欧州金融危機の影響によっては、今後の需要減退を招く可能性もあり、今後の牛肉需給動向が注目される。

図3 1頭当たり枝肉重量の推移
資料:USDA/AMS
注:去勢牛



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