需給動向 国内

◆飼 料◆

平成22年5月のトウモロコシの国際価格、5カ月連続で400米セント台を下回る


◇絵でみる需給動向◇


 配合飼料の成分構成の約5割を占めるトウモロコシの国際価格(シカゴ定期相場)は、平成20年上半期の高騰から一転して下落し、ブッシェル当たり300米セント後半から400米セント前後で推移していたが、本年5月には359米セントとなり、5カ月連続して400米セント台を下回った(図6)。
図6 トウモロコシ、大豆ミールのシカゴ定期相場
資料:日本経済新聞

 シカゴ定期相場が落ち着いた水準で推移している要因としては、米国の主産地における好天予想に伴う豊作見込み、欧州の金融不安による投機資金の流出、穀物需要の減退懸念などが考えられている。

 また、飼料の輸入価格に影響を及ぼす要因の一つである海上運賃(米国ガルフ〜日本間)については、中国の大豆・石炭・鉄鉱石に対する船腹需要の増加などにより上昇傾向で推移しており、22年5月は、前月比5.0%高となるトン当たり74.2ドルとなった(図7)。

図7 海上運賃の推移(ガルフ〜日本)
資料:社団法人配合飼料供給安定機構調べ

 こうした状況の中、シカゴ定期相場を反映した飼料輸入価格の下落が期待されるところであるが、中国のトウモロコシ輸入増加に伴う国際価格上昇が懸念されている。

 中国は、国内生産量が需要量を100万トン程度下回る(USDA予測)とされており、また、春季の南西部(中国全体の作付面積シェア約15%)における大干ばつの影響もあって、4月下旬にはトウモロコシの買い付けを行ったところである。同国のトウモロコシ輸入は、大豆の場合と同様、数年間で爆発的に増加するとの懸念も指摘されている一方で、政府による増産・生産性向上対策が講じられるなど、今後の状況に関心が高まっている。

 これに加え、上昇傾向の海上運賃、先行き不透明な為替動向など複数の懸念要素が存在しており、今後とも予断を許さない状況が続くと思われる。


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