需給動向 海外

◆飼 料◆

需給ひっ迫懸念を払しょくする2010/11年度の粗粒穀物需給


◇絵でみる需給動向◇


記録的な生産増、消費増の中、期末在庫は4年連続して増加

 米国農務省(USDA)が公表した2010/11年度の主要農産物の需給見通しによると、世界全体の粗粒穀物生産量は前年度を2.5%上回る11億2,977万トンとなり記録的な増産が見込まれている。また、消費量も記録的に増加し前年度を2.3%上回る11億2,496万トンが見込まれている。

 2007/08年度以降を見ると、単年度ベースでは生産量が消費量を上回るため、期末在庫は4年連続して前年度から積み上がっている。2010/11年度の期末在庫は2000/01年度以来の高水準となり、前年度を2.4%上回る2億151万トンが見込まれており、これまでの需給ひっ迫懸念は払しょくされるとしている。

 USDAは、ここ数年での生産量の増加要因としては、天候が良好である上に、価格が上向くことで作付面積が拡大していることを指摘している。また、この10年間消費量が増加している要因については、世界全体における人口増と収入増に加え、バイオ燃料向けの需要増を指摘している(図15)。

図15 世界全体の粗粒穀物需給
資料:USDA/FAS「Grain: World Markets and Trade」(2010年5月)
注:2009/10年度は暫定値、2010/11年度は予測値

2010/11年度の米国のエタノール向け数量は、輸出量の2倍を上回る

 粗粒穀物の約7割以上を占めるトウモロコシについては、2010/11年度における世界全体の生産量と消費量は、ともに記録的な増加が見込まれている。また、生産量は前年度を3.3%上回る8億3,503万トン、消費量は前年度を2.3%上回る8億2,787万トンとしており、生産が消費を上回るため、期末在庫は前年度を4.9%上回る1億5,421万トンと増加が見込まれている。

 USDAによると、米国の燃料エタノール向けトウモロコシ消費量は、増加の度合いを弱めているとしつつも数量は記録的となり、前年度を4.5%上回る1億1,680万トンが見込まれている。

 燃料エタノール向け数量は、米国における国内消費量の40.7%を占め、輸出量を含めた需要量全体から見ると、輸出量は15.0%であるのに対し、燃料エタノール向け数量は34.6%を占める。なお、燃料エタノール向け数量と輸出量は2007/08年度を境に逆転し前者が後者を上回って推移している(図16)。

図16 米国におけるトウモロコシ需要量に占めるエタノール向け数量と輸出量の割合
資料:USDA/FAS「Grain: World Markets and Trade」(20010年5月)
注:2009/10年度は暫定値、2010/11年度は予測値

世界全体の貿易量に占める米国の輸出量割合は低下

 世界全体のトウモロコシ貿易量は、右肩上がりの傾向にあるとした上で、世界全体の貿易量に占める米国の輸出量割合は、将来的には増加傾向にあるとしているが、アルゼンチン産との競合、飼料に向けられる小麦が増加していることに加え、米国以外の地域でトウモロコシが増産されていることなどによりここ2〜3年は6割前後で推移しており、世界全体の貿易量に占める米国産トウモロコシの影響力の低下が指摘されている(図17)。

図17 世界全体のトウモロコシ貿易量に占める米国輸出量の割合
資料:USDA/FAS「Grain: World Markets and Trade」(2010年5月)
注:2009/10年度は暫定値、2010/11年度は予測値

元のページに戻る