需給動向 海外

◆E U◆

介入買入在庫放出の動きに域内乳製品市場が反応


◇絵でみる需給動向◇


4月の生乳供給量は前年比0.8%減の見込み

 ZMBによれば、2010年4月のEU27における生乳供給量(推計値)は前年比0.8%減となった(図10)。年初と比較し減少幅が縮まっているものの、昨年の9月以降前年同月を下回る状況が続いている。また、前述のように生乳供給量自体が前年を下回る中、バターおよび脱脂粉乳の生産量も前年同月の値を大きく下回る状況が続いており(図11)、これが春先に観察されたバター、脱脂粉乳を中心とする乳製品価格の急騰の一因となったのは既報のとおりである。

図10 EU27における月別生乳供給量の推移
資料:ZMB
注:各月の日数を365/12に補正。なお、2010年3月以降の値は推計値。
図11 EUにおける主要乳製品の生産動向(対前年比)
資料:ZMB
注:数値は暫定値。

原料となる生乳の不足を背景として生乳価格が堅調に推移

 一方、各乳業メーカーは乳製品の増産を図るため生乳の確保へと動き、結果として生乳価格が堅調に推移している。図12はLTOが公表する域内生乳価格の推移を示したものであるが、2010年の生乳価格は2009年の低迷期から脱し、乳製品価格高騰前の水準である2006年平均まで回復していることが読み取れる。また、図10の通り、EUの生乳生産量は春先をピークとして減少期に入ることから、生乳価格は今後上昇傾向で推移するとみられる。

図12 EUにおける生乳価格の推移
資料:LTO
注:大手乳業16社の単純平均値。

脱脂粉乳の卸売価格については5月の価格を上回る展開は考えにくい状況に

 このような中、欧州委員会は5月下旬に懸案事項であったバターおよび脱脂粉乳の介入買入在庫放出を決断し、初回の入札が6月3日に実施された。入札結果は、バターの落札数量が11,551トン(最低落札価格:100キログラム当たり345ユーロ(約39,330円:1ユーロ=114円))、脱脂粉乳は応札価格帯が低すぎるとして全量不落となったが、介入買入在庫放出の入札は、2週間ごとに開催される乳業管理委員会において実施されることから、バターおよび脱脂粉乳の市場は模様眺めの展開になるとみられる。生活困窮者への食糧支援に仕向けられるものおよび初回の放出量を除く介入買入在庫は、バターが約1万3千トン(全量が第2回の入札対象)であるのに対し、脱脂粉乳は約19万トン(うち約8万トンが第2回の入札対象)と規模が異なる。このため、バターの卸売価格については引き続き堅調に推移するとみられるものの、脱脂粉乳の卸売価格については5月の値を上回る展開は考えにくい状況にあるとみられる。いずれにしても、欧州委員会が回復基調にある生乳価格に悪影響を与えることなく、いかに介入買入在庫の減少を図っていくかが注目される。

 


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