ロシア向けを中心に堅調に推移
欧州委員会の公表資料によれば、2010年第1四半期の域外への豚肉製品輸出量は、ロシア向けを中心に堅調に推移し、全体では前年同期比2.1%増の58万トンとなった。ロシア向けについては前年同期比12%増と顕著な増加がみられ、日本向けも同9%増となったが、主要国で前年を上回ったのはこの2カ国のみで、2009年の実績で1/4のシェアを占めた中国をはじめ、ウクライナ、韓国は前年を下回った(表1)。
表1 EU域外への豚肉製品輸出量の推移
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このようにEU産豚肉製品の域外輸出量が増加している要因としては、ユーロの為替レート低下により国際市場におけるEU産豚肉製品の相対的な競争力が向上したことや、前年同期においては経済危機の影響で豚肉消費が冷え込んでいたことなどが考えられる。
また、英国農業園芸開発公社(AHDB)によれば、2010年第1四半期におけるロシア向け輸出においては、特に冷蔵・冷凍豚肉の分野で好調だったとみられ、米国産豚肉のロシアへの輸出がロシア衛生当局により制限された結果、需要がEU産豚肉にシフトしたという側面もあるとみられる。2009年においては、EU内のいくつかの食肉処理施設も同様にロシア衛生当局の査察により制限を受けることとなったが、現在ではその影響は相当程度解消されているもようだ。
一方、2010年におけるEUの豚枝肉卸売価格は2月を除き前年を下回って推移しているが、5月においては前月より5%上昇し、前年との差が縮小しつつある(図7)。これまでのところ好調に推移している輸出を追い風として域内市場が今後どのような展開をみせるか注目される。
図7 EUにおける豚枝肉卸売価格の推移
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資料:欧州委員会
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